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津波の危険過小評価IAEA調査団指摘 現場、政府の対応は賞賛

2011.06.02

 福島第一原子力発電所事故を調査していた国際原子力機関(IAEA)の調査団が1日、報告書素案を日本政府に提出した。

 報告書素案は、「幾つかのサイトで津波の危険が過小評価されていた」と指摘、原子力発電所の設計、運転者は自然災害の危険を適切に評価し、防護措置を講じるべきだとしている。新たな情報、経験、理解を踏まえて危険性に対する評価と評価手法を定期的に見直す必要も指摘した。

 大洪水のような極限的な外部事象について、深層防護、物理的分離、多様・多重性の考え方が適用されるべきだ、とも言っている。

 水素の危険性についての詳細な評価と対応システム、シビアアクシデント(過酷事故)に対する適切な緊急時対応の必要も指摘した。

 一方、現場の運転員による非常に献身的で強い決意を持つ専門的対応は模範的とたたえるとともに、避難を含め、公衆を保護するための日本政府の長期的対応は見事で、非常に良く組織されている、と評価している。

 IAEA調査団は、5月24日から6月1日まで日本で調査を行った。調査結果は、6月20-24日にウィーンで開かれる原子力安全に関するIAEA閣僚会議で報告される。

 IAEA調査団の団長、ウエイトマン博士は、英原子力規制庁の原子力規制主査も務めている。福島第一原子力発電所事故が英国の原子力発電に与える影響を評価するよう英政府から求められ、「英国の原子力発電所その他の原子力施設の運転を縮小させる必要はない」という報告書を5月18日に英政府に提出している(2011年5月31日ニュース「福島原発事故後も英原子力政策に変化なし」参照)。

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