東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の被害と技術的対応については、当事者である東京電力のウェブサイトにほとんど情報がないこともあり、一般の人間には事態がどの程度悪化しているのかよく分からない状態が続いている。
国民の疑問、不安に答えることが期待されているアカデミズムを代表する日本学術会議は16日、緊急集会「今、われわれにできることは何か?」を開催することを決め、科学界だけでなく産業界、メディア関係者に参加を呼び掛けた。
集会は、18日午後3時から5時まで、東京都港区六本木7-22-34の日本学術会議講堂で開かれ、参加者の事前登録は不要となっている。
金澤一郎・日本学術会議 会長は、科学者に対し次のように集会開催の理由を述べている。
「史上最悪となりました東北関東大震災に直面し、科学者の立場から国民に対し何がしかのメッセ—ジを発するべきではないかとお考えの方もおいでのことと思います。
わが国の学術は厳しい自然環境との戦いの中で発達してきたといえます。今回の災害は、人類の幸せを追及することを目的として精進してきたわれわれ科学者に自然の力の強さを見せつけ、科学・技術の力の限界をあらためて認識させる結果となりました。
また、自然災害の二次災害である原子力発電所からの放射性物質の漏出については、われわれ科学者に大きな課題を残すこととなりました。
災害の復旧、原発の修復に献身的に努めておられる関係者の方々に心から敬意を表するとともに、我々は学術の立場から今後どのような貢献ができるのか、わが国のこれからを見据えた復旧へのメッセージを国民に伝えることが求められています」