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耐震性向上の取り組みどこに問題が

2011.04.05

 原子力発電所の安全を確保するための審査基準や審査方法などをつくってきた専門家は、今回の福島第一原子力発電所で起きた事態に対して、どのように考えているのか。5日の東京新聞朝刊に興味深い記事が出ている。原子力安全委員会耐震設計特別委員長の入倉孝次郎・京都大学名誉教授に同紙記者がインタビューした記事だ。

 入倉氏は、京都大学防災研究所長(2001-03年)や京都大学理事・副学長(04年-05年)などを務めた地震学者で、特に強震動地震学を専門分野としている。2000-03年と05-08年の2度にわたり日本学術会議会員を務め、現在も同会議の連携会員。04年には日本地震工学会の会長でもあった。

 「何があっても多重防護で大丈夫って言ってきたのが、うそだった。人災だと思う」という入倉氏の言葉が目を引く。

 「スマトラ沖地震(2004年、マグニチュード9.1)の経験を日本でも生かすべきだった。海外を含めて、史上最大はどれくらいかを考えて設計しなくてはいけない」

  「自然の怖さを知って原発を設計すること。自然のせいにしてはいけない」

 入倉氏の反省の弁が続くが、氏以外にも原子力発電所の耐震性向上にかかわってきた専門家は数多いと思われる。これらの人たちは、今回の事態に対して一般の人たちに分かるように説明する責任があるのではないだろうか。何が問題だったか、を。

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