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	<title>科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」</title>
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		<title>ムラサキヌタウナギの寄生虫、サメの人工羊水で撃退 沖縄美ら海水族館</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20260710_n01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 10 Jul 2026 06:07:55 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　沖縄美ら海水族館（沖縄県本部町）は、ムラサキヌタウナギの寄生虫を「サメの人工羊水」を応用して撃退する技術を確立した。飼育中のムラサキヌタウナギは体表に寄生虫が繁殖して死ぬこともあるため、これまで手間と時間をかけて寄生虫 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　沖縄美ら海水族館（沖縄県本部町）は、ムラサキヌタウナギの寄生虫を「サメの人工羊水」を応用して撃退する技術を確立した。飼育中のムラサキヌタウナギは体表に寄生虫が繁殖して死ぬこともあるため、これまで手間と時間をかけて寄生虫を一匹ずつピンセットで取り除いていた。今回、サメの赤ちゃん用の人工羊水を改良してムラサキヌタウナギを浸したところ、わずか5分で寄生虫を駆除できることが分かった。他の生き物にも応用できれば、水族館の飼育環境の改善に役立つという。</p>



<p>　ムラサキヌタウナギは原始的な魚の一種で、顎がない「無顎類」の仲間だ。同水族館管理センター魚類課深海展示係の高岡博子さん（深海生物の飼育担当）によると、沖縄近海の水深600メートル以深、水温約10度のところに生息し、口にある歯のような突起でむしりとるようにしてエサを食べる。自然界では海の生き物の死骸などを食べているとされるが、生態には謎が多い。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img fetchpriority="high" decoding="async" width="750" height="499" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260710_n01_01.jpg" alt="水族館で展示されているムラサキヌタウナギ（国営沖縄記念公園（海洋博公園）・沖縄美ら海水族館提供）" class="wp-image-57537" style="width:580px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260710_n01_01.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260710_n01_01-300x200.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">水族館で展示されているムラサキヌタウナギ（国営沖縄記念公園（海洋博公園）・沖縄美ら海水族館提供）</figcaption></figure></div>


<p>　ムラサキヌタウナギを水槽内で飼育すると、単生類の寄生虫が付着する。この寄生虫は扁形動物の仲間で、体表の粘液をエサにして繁殖する。その結果、ムラサキヌタウナギの体表が傷つき、最悪の場合は死に至ることもある。そのため、寄生虫の定期的な駆除が欠かせない。</p>



<p>　これまで水族館では、生き物を淡水に浸して寄生虫を駆除する「淡水浴」が一般的だった。しかし、ムラサキヌタウナギなど淡水に極めて弱い生き物には適用できず、その代わりに、ピンセットでつまみとるという最も確実な方法を採用してきた。だが、手作業なので生き物の拘束時間が長く、生き物にとっても飼育員にとっても負担が大きかった。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img decoding="async" width="750" height="759" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260710_n01_02.jpg" alt="ムラサキヌタウナギにおける寄生性単生類の駆除の流れ（国営沖縄記念公園（海洋博公園）・沖縄美ら海水族館提供）" class="wp-image-57538" style="width:490px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260710_n01_02.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260710_n01_02-296x300.jpg 296w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">ムラサキヌタウナギにおける寄生性単生類の駆除の流れ（国営沖縄記念公園（海洋博公園）・沖縄美ら海水族館提供）</figcaption></figure></div>


<p>　同水族館管理センター魚類課黒潮展示係の冨田武照さん（サメの研究）は、サメの人工羊水の研究を続けてきた。水族館で長くサメを飼育していると繁殖行動が起こり、妊娠・出産に至ることがある。ヒトの場合、周産期のトラブル時は人工保育器を使うが、サメが早産した場合の対応法は確立されていなかった。冨田さんは2017年から研究を開始し、21年に人工子宮装置・人工羊水を編み出した。人工羊水は、海水に淡水や尿素を混合したもの。これにより、サメの母体の環境に近い状態を作り出すことができた。</p>



<p>　高岡さんは手作業による寄生虫駆除の負担を軽減する方法を模索する中で「人工羊水の成分が有効ではないか」と考え、冨田さんに打診した。ムラサキヌタウナギを人工羊水に浸したところ、予想通り寄生虫を駆除できることが分かった。その後、尿素や海水の比率を変えることで、より効果的な溶液の開発に成功した。この溶液は、浸透圧や塩分が海水とは異なり、ムラサキヌタウナギには無害でありながら、寄生虫には致死的である。</p>



<p>　高岡さんは「水族館は様々な生き物がいるため、既存の方法では対応できないことも多い。今回の手法に限らず、よりよく飼育するための手法をこれからも開発していきたい」と話した。冨田さんは「淡水浴が不可能な他の生物にも応用できないか、今後も研究を続けたい」とした。</p>



<p>　今回の方法は5月20日に特許を取得し、成果は6月9日、沖縄美ら海水族館が発表した。論文は2025年7月17日、オランダの学術誌「メソッズエックス」に掲載された。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>AI法【後編】制御不可能性にどう向き合うか～中大・平野教授インタビュー【文理融合】</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/stories/20260709_s01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 09 Jul 2026 06:02:34 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　AI（人工知能）は私たちの暮らしを便利に変えてくれる半面、私たちがコントロールされてしまう危険性をはらんでいる。AIを使うべき場面と、使わない方がよい場面にはどのようなものがあるのだろうか。AIと法律の専門家で、米ニュ [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　AI（人工知能）は私たちの暮らしを便利に変えてくれる半面、私たちがコントロールされてしまう危険性をはらんでいる。AIを使うべき場面と、使わない方がよい場面にはどのようなものがあるのだろうか。AIと法律の専門家で、米ニューヨーク州の弁護士資格も持つ、中央大学国際情報学部の平野晋教授に聞いた。</p>



<h2 class="wp-block-heading">映画を扱う授業、学生から新鮮な意見</h2>



<p><strong>―「映画と法律」というテーマで授業をしていますね。</strong></p>



<p>　私は映画が好きなんです（笑）。「ブレードランナー」「ロボコップ」「2001年宇宙の旅」などのSFモノを授業で扱っています。「大義の為に死することこそ、我々ができる最も人間的なことである」という人造人間のセリフをどう理解すべきか（ブレードランナー）や、ヒトの兵士よりもロボット兵士の方が市街戦でも非戦闘員を正しく見分けられるから人道的である、という趣旨の映像表現をどう思うか（ロボコップ）、「HAL（ハル）9000」というAIが宇宙飛行士たちを排除した理由はなぜなのか（2001年宇宙の旅）――などを学生たちに尋ねます。多くの学生はこれらの映画を観たことがないので、議論すると新鮮な意見が飛び出します。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img decoding="async" width="650" height="952" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_01.jpg" alt="平野晋教授の著作「ロボット法：AIとヒトの共生にむけて」。映画を通じた様々な事例を掲載している。法律書頻出の、人や会社を示す「甲、乙」を「デルタ（⊿）、パイ（π）」と表現するなど、理系でも読みやすいように工夫している（弘文堂提供）" class="wp-image-57531" style="width:330px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_01.jpg 650w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_01-205x300.jpg 205w" sizes="(max-width: 650px) 100vw, 650px" /><figcaption class="wp-element-caption">平野晋教授の著作「ロボット法：AIとヒトの共生にむけて」。映画を通じた様々な事例を掲載している。法律書頻出の、人や会社を示す「甲、乙」を「デルタ（⊿）、パイ（π）」と表現するなど、理系でも読みやすいように工夫している（弘文堂提供）</figcaption></figure></div>


<p><strong>―何がAIの欠点なのでしょうか。</strong></p>



<p>　まずAIの最も重大な欠点は、AI開発者、提供者、または利用者などの想定や意図に反する判断や行動をしてしまう「制御不可能性」です。今から半世紀以上前の1968年に公開された「2001年宇宙の旅」のHAL9000がその代表例でしょう――。</p>



<h2 class="wp-block-heading">不透明性、説明「無」責任、営業秘密…</h2>



<p>　それ以外にも多くの欠点を、AIは内包しています。たとえば「opacity（オパシティ）」と呼ばれる「不透明性」。これは一般的には「ブラックボックス」問題とも呼ばれています。仕組みが複雑すぎて、または学習したデータが不明なゆえに、なぜAIがそのような予測、推奨、または判断（アウトプット）を行ったのか、その機序や理由が分からない問題が不透明性です――この欠点もHAL9000が象徴しています。</p>



<p>　不透明性と近似する問題として、「説明『無』責任」も欠点として挙げられます。なぜそのようなアウトプットをしたのかの説明責任を果たせない問題です。その原因の一つが不透明性、という関係にあります。アウトプットの機序や理由が不透明であれば、説明も当然できないというわけです。</p>



<p>　さらに説明「無」責任のもう一つの原因は、「営業秘密」という法律です。たとえばAIによって害を被った原告が、AIの提供者らを被告として損害賠償責任を追及する際に、AIが犯したかもしれない誤りを解明するためには、ソースコードなどを開示してもらう必要性が生じ得ます。それにもかかわらず、AI提供者側が営業秘密などの法律を盾に隠蔽してしまうと正義が実現できない、すなわち説明責任を果たせ（さ）ない、という問題も米国では指摘されています。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="241" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_02.jpg" alt="人がAIを使いこなすのか、AIの従者になってしまうのか――。AIが普及し始めた今こそ考えなければならない課題だ" class="wp-image-57532" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_02.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_02-300x96.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">人がAIを使いこなすのか、AIの従者になってしまうのか――。AIが普及し始めた今こそ考えなければならない課題だ</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">人生の重大事で安易に使用すべきではない</h2>



<p><strong>―営業秘密が出てくるんですね。</strong></p>



<p>　そのような営業秘密の問題に関しては、裁判所がアルゴリズムの使用を禁じる判断を下した事例が、米ヒューストン市で生じた事件に見受けられます。その事件では、同市の独立教育区が、ベンダーから提供されたアルゴリズムを用いて最下位の評価を受けた教員の雇用を不継続としました。しかし最下位な評価に至った理由や機序を、教員たちに説明できませんでした。</p>



<p>　独立教育区が最下位評価の機序を説明できなかった原因は、ベンダーが営業秘密を理由に、同区に対してさえもソースコードなどの情報開示を拒んだことにありました。雇用不継続となった教員や組合は、説明責任を要求する憲法上の人権規定（適正手続の保障）違反を理由に、そのようなアルゴリズム使用の恒久的な差し止めを求めて提訴。すると裁判所は、説明責任を果たせないようなシステムの使用は禁じる他にない、と判断しました。この事件が例示しているように、人生の重大事や権利を侵害するような判断にAIを利用する際には、説明責任を果たせない欠点が違憲となるおそれも考慮しておく必要があるのです。</p>



<p>　ところでAIの制御不可能性については不透明性と相まって、AIロボット兵器の使用がためらわれる原因の一つにもなっています。制御不可能な、何をしでかすか分からないような代物を、兵器に使えるでしょうか。民間人を攻撃するかもしれないし、友軍を攻撃してくるかもしれない。改善したくても、不透明性ゆえにそもそもなぜそのような行動をとったのかの機序も不明であるから改善もできない……そのような欠陥システムは、人命がかかるミッションにとても使えたものではない、と国際赤十字委員会は指摘しています。</p>



<p>　私はAIを、人生の重大事や権利が関わる場面で安易に使用すべきではない、と考えています。他方、キュウリの形を選別したり、テニスや野球の球がインであったかストライクであったかのような「機械的判断」を行ったりするタスクならば、ヒトよりも素早く、正確に、疲れることなく働き続けることができるAIを使ってよいでしょう。しかし、前述した採用活動のような「価値的判断」については、AIの使用に対して慎重であるべきと考えています。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="560" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_03.jpg" alt="人生を左右し、個人が反論できないようなAI活用の危険性を語る平野晋教授（2026年4月、東京都新宿区）" class="wp-image-57533" style="width:580px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_03.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260709_s01_03-300x224.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">人生を左右し、個人が反論できないようなAI活用の危険性を語る平野晋教授（2026年4月、東京都新宿区）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">大谷選手の価値はデータで語り尽くせない</h2>



<p><strong>―人生の重大事や権利が関わるタスクには安易に使用すべきでない、というところをもう少し詳しくお伺いできますか。</strong></p>



<p>　たとえば、昇進や昇格といった人事評価の際の判断要素として「データで数値化していない要素」も評価しなければならないタスクは、AIに任せにくいと思います。</p>



<p>　今、データ野球と言われていますが、たとえば米国のメジャー・リーグではデータ化とデータ分析が非常に進化しているにもかかわらず、それでも、例えば大谷翔平選手の立ち居振る舞いが仲間の選手やチーム全体に与える、無形のリーダーシップなどの価値は数値化するのが難しい、と言われています。誰が見ても「すごい選手」で、データだけでもすごい選手であることは間違いないのですが、彼の価値はそれだけでは語り尽くせません。</p>



<p>　同様に、就活生が将来企業に貢献するか、出世するかのような予測を、AIが入社選考時に正しく予測できる保証はない、と日米の研究者が批判しています。そもそも落選者が30年後にどのように大成したか／しなかったのかのデータを有していないのですから、入社選抜時点におけるそのような予測は、正しさを検証しようもない予測（もはや「占い」といった方がよいかも）に過ぎません。</p>



<p>　それが正しいという主張や宣伝でさえも、効率的で採用活動の手間を省けることを餌にしつつ、数値や統計を使っているから正確であるなどと、まことしやかに喧伝されると、そのサービスを購入する企業側もだまされてしまうことも大問題である、と指摘されています。</p>



<h2 class="wp-block-heading">「人間中心」を社会の原則に</h2>



<p>　ところで、スタートアップ企業に対しては「高度なサービスを提供するよう要求すべきでない」という主張を見かけることがあります。しかしスタートアップだからといって、（就活時に）人生の重大事を不当に左右したり、安易に権利侵害を生じさせたりするような、低品質なサービス提供が許されてはなりません。</p>



<p>　そのような分野においては、規模の大小にかかわらず等しく高品質なサービス提供ができなければ、当然規制されるべきでしょう。スタートアップ企業だからといって、就活生がその不正確・不公正な判断の犠牲になっても泣き寝入りしなければならないという主張は、とても受け入れられないからです。</p>



<p>　規模の大小にかかわらず、事業者には等しく安全性を維持する義務が課されるべきという方針は、製造物責任法の判例に見受けられます。たとえ個人経営の小規模な料理店であっても、大企業の食品会社と同様に、中毒を出せば損害賠償責任を免れない、と裁判所によって判断されているのです。被害者の身になれば、当然な判断でしょう。</p>



<p>　内閣府のAIガイドラインは「人間中心のAI社会原則」、と命名されていますし、日本が主導して理事会勧告に至った「OECD AI原則」も「信頼に値するAI」を目指しています。さらに昨年成立・施行された「AI法」も、「国際的な規範の趣旨に即した指針の整備その他の必要な措置を講ずる」と規定しています。したがってAI利用によってかえって人間が阻害されたり、信頼に値しないようなAIが使われたりしてはいけないのです。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>首都直下地震の緊急対策計画改定 死者を半数以下へ、火災対策など重視</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/stories/20260708_s01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 08 Jul 2026 05:58:53 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=stories#038;p=57522</guid>

					<description><![CDATA[　マグニチュード（M）7級以上の激しい揺れが襲う首都直下地震。M7級は今後30年以内に70％程度の確率で起きると予想され、政治、経済、行政の機能が集中する首都圏を直撃して国全体の経済・社会活動を大きく揺るがしかねない。政 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　マグニチュード（M）7級以上の激しい揺れが襲う首都直下地震。M7級は今後30年以内に70％程度の確率で起きると予想され、政治、経済、行政の機能が集中する首都圏を直撃して国全体の経済・社会活動を大きく揺るがしかねない。政府は6月12日の閣議で「首都直下地震緊急対策推進基本計画」を大幅改定して新たな減災目標と対策を盛り込むことを決めた。</p>



<p>　改定計画では「死者約1万8000人、全壊・焼失建物約40万棟」とした想定被害（最大値）を今後10年間で「半数以下」に減らす。犠牲者の約7割は火災が原因と推定されるため、揺れを感知すると自動的に電気を遮断する感震ブレーカーを「おおむね設置」させることなどの火災対策を重視している。</p>



<p>　改定は2015年以来。近年はAI・デジタル化が進み、通信インフラを含む都市・社会構造は大きく変化した。地震防災を巡る環境・状況も複雑に変容し、巨大災害時のリスクも増大している。中枢機能が集積する過密巨大都市を襲う大地震への備えは一層重要になっている。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="376" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_01.jpg" alt="東京は政治、経済、行政の機能が集中する過密巨大都市だ。首都直下地震の被害イメージを紹介する動画の一場面（内閣府提供）" class="wp-image-57523" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_01.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_01-300x150.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">東京は政治、経済、行政の機能が集中する過密巨大都市だ。首都直下地震の被害イメージを紹介する動画の一場面（内閣府提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">過密巨大都市の甚大被害は国の機能マヒに</h2>



<p>　内閣府によると、東京都と神奈川・埼玉・千葉3県の「東京圏」には日本の人口の約3割に当たる約3690万人が住み、建物は約965万棟を数える。地下には陸側のプレート（北米プレート）があり、その下に太平洋プレートとフィリピン海プレートが重なって沈み込む世界でも珍しいプレート3重構造になっている。東京圏は常に大地震のリスクにさらされている。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="498" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_02.jpg" alt="南関東地域地下には3つのプレートが複雑に重なる特殊な構造になっており、場所によりさまざまなタイプの地震が起きる（内閣府提供）" class="wp-image-57524" style="width:680px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_02.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_02-300x199.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">南関東地域地下には3つのプレートが複雑に重なる特殊な構造になっており、場所によりさまざまなタイプの地震が起きる（内閣府提供）</figcaption></figure></div>


<p>　政府の作業部会が昨年12月に公表した新たな被害想定では、都心南部直下地震（冬の夕方、風速は秒速8メートル）による死者は火災による約1万2000人と建物倒壊による約6000人の計約1万8000人。建物の全壊は約13万棟、焼失は約27万棟の計約40万棟だ。</p>



<p>　また、避難者は約480万人、避難所の食糧不足は約1300万食、停電は約1600万世帯で、経済損失は約83兆円を超える。2013年の被害想定と比べて死者は約5000人、全壊・焼失棟は約21万棟減ったものの、政府が15年の緊急対策計画で目指した「おおむね半減」にはほど遠い数字だった。</p>



<p>　今回の改定計画は冒頭部分で「首都の中枢機能に障害が生じた場合、災害応急対策に大きな支障が生じるだけでなく、国全体の国民生活や経済活動に支障が生じるほか、海外にも影響が波及する恐れがある」「首都中枢機能の障害は巨大過密都市を襲う膨大な被害をさらに拡大させる恐れがある」と危機感をあらわにした。そして「中枢機能の継続体制の構築」と「ライフラインやインフラ機能の維持」を重要課題に明記した。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="600" height="549" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20251225_e01_07_r.jpg" alt="関東大震災型大地震の想定震度分布図（内閣府提供）" class="wp-image-55900" style="width:540px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20251225_e01_07_r.jpg 600w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20251225_e01_07_r-300x275.jpg 300w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /><figcaption class="wp-element-caption">関東大震災型大地震の想定震度分布図（内閣府提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">被害低減の数値目標を189項目</h2>



<p>　改定計画は死者数や全壊・焼失建物数を「10年以内に半数以下」にすると明示した。単なる努力目標ではなく、それを実現するための具体的な数値も盛り込んだ目標を定めたのが特徴だ。その数は従来の47から189に一気に増えた。</p>



<p>　もう1つの特徴は、政府や自治体による「公助」には限界があり、「自助」「共助」も必要であることを強調している点だ。緊急に実施するべき対策として、「防災意識の醸成と社会全体での体制構築」を挙げた。「『行政が守る者、国民が守られる者』という考え方から『国民、企業等、地域、行政が共に災害に立ち向かう』という考え方に転換する」としている。</p>



<p>　もちろん、行政による「公助」の果たす役割は大きい。政府には目標達成に向けた自治体支援や住民啓発が求められる。国民・市民としては国や自治体が実施するべき政策・対策をしっかり見届けつつも、大きな災害の直後には行政の支援が届き難い現実も直視しなければならない。改めて一人一人ができる備えを徹底する重要性が増している。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="525" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_03.jpg" alt="新たな被害想定を出した政府の作業部会の報告書の表紙と本文の一部（政府／内閣府提供）" class="wp-image-57525" style="width:680px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_03.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_03-300x210.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">新たな被害想定を出した政府の作業部会の報告書の表紙と本文の一部（政府／内閣府提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">火災対策の鍵は感震ブレーカー</h2>



<p>　阪神・淡路大震災や東日本大震災では、火災の半数以上は電気系統が原因だったとの調査結果がある。首都直下地震でも、想定死者数と全壊・焼失棟数の約7割は火災が原因とされている。このため改定計画では火災対策を大幅に強化した。</p>



<p>　特に冬の同時多発火災による被害の拡大は最大の脅威で、感震ブレーカーの普及促進を重点施策に位置付けた。緊急対策区域となっている1都9県（茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、長野、静岡）の設置率20％（2024年度）を35年度に「おおむね設置」まで引き上げるという。</p>



<p>　感震ブレーカーは、地震で損傷した配線部分などから出火することを防ぐ装置で、揺れを感知すると自動的に電気を遮断する。分電盤内蔵センサーで揺れを感知して電気を遮断するタイプは工事が必要で、費用は最大8万円程度かかる。より簡易的なタイプだと1個3000～2万円程度で購入できるものもある。</p>



<p>　現在、購入補助をしている自治体もあるが、東京都の市区町村の場合、補助をしているのは3分の1程度（総務省消防庁の調査）。「おおむね設置」を実現するためには、「自助」だけでなく「公助」による補助拡充も必要になってくる。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="258" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_04.jpg" alt="さまざまなタイプの感震ブレーカー。「感震ブレーカーの設置促進に向けた取り組み強化」のプレスリリースから（内閣官房／内閣府／総務省消防庁／国土交通省／経済産業省提供）" class="wp-image-57526" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_04.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_04-300x103.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">さまざまなタイプの感震ブレーカー。「感震ブレーカーの設置促進に向けた取り組み強化」のプレスリリースから（内閣官房／内閣府／総務省消防庁／国土交通省／経済産業省提供）</figcaption></figure></div>


<p>　火災対策としては「出火」を食い止めるだけでは十分ではない。改定計画では「著しく危険な密集市街地の面積の解消率100％」も盛り込んでいるが、実現には住民らの移転先の確保など課題も少なくない。また、延焼遮断帯の整備や防火性能の高い建物への順次更新など、進めるべき施策・対策は多い。</p>



<p>　建物の耐震化も重要な柱だ。耐震化対策は長い間、1981年の「新耐震基準」より前に建てられた住宅の解消が主な目標だったが、阪神・淡路大震災の被害を教訓に強化された「2000年基準」以降の住宅の倒壊率が低いことが分かってきた。改定計画では緊急対策区域で耐震性が不十分な住宅を35年度に「おおむね解消する」とした。ここでも「公助」が求められる。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="650" height="402" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20251225_e01_02_r.jpg" alt="首都直下地震により発生した大規模火災のCGイメージ動画の一場面（内閣府提供）" class="wp-image-55891" style="width:620px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20251225_e01_02_r.jpg 650w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20251225_e01_02_r-300x186.jpg 300w" sizes="(max-width: 650px) 100vw, 650px" /><figcaption class="wp-element-caption">首都直下地震により発生した大規模火災のCGイメージ動画の一場面（内閣府提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">避難対策や帰宅困難者対策も重要</h2>



<p>　想定避難者は最大で約480万人に上ることから、避難所が不足する恐れがある。このため改定計画では、在宅避難や被災地外への広域避難を推奨している。個人ができる対策として、在宅避難の場合は3日分以上の食料・飲料を備蓄する家庭を2035年度に全国で100％にするとし、家具の固定率も100％を目標にした。</p>



<p>　緊急対策区域の1都9県には、ホテルや旅館を避難所とする指針の作成を求めた。自治体は国際基準を満たす量のトイレやベッドなどの備蓄に努める。また、緊急対策区域の市区町村が民間団体から食事の提供を受ける協定を結ぶことなども定めている。</p>



<p>　このほか、2030年度には水道の導水管・送水管の耐震化率を62％に、下水道管路は81％に、緊急輸送道路上の橋梁は90％にする目標を掲げた。発電・送電システムも耐震化を進め、災害時の石油供給連携を進めるなど広くライフライン・インフラの強靱化（きょうじんか）も目指している。</p>



<p>　東日本大震災では鉄道が運行を停止し、東京都心部で多数の帰宅困難者が出た。歩行者や車で道路が混雑して救助活動にも支障をきたした。首都直下地震での帰宅困難者は約840万人に上ると予想され、大混乱に陥る恐れが指摘されている。改定計画では、一斉帰宅の抑制や民間を含めた一時滞在施設の確保を促した。SNSなどでデマが拡散されて混乱が生じないよう、政府が正確な情報の発信に取り組むことなど多種多様な対策を具体的に盛り込んでいる。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="670" height="778" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_05.jpg" alt="建物の全壊を減らすための耐震化対策の重要性を示すグラフ（内閣府提供）" class="wp-image-57527" style="width:560px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_05.jpg 670w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_05-258x300.jpg 258w" sizes="(max-width: 670px) 100vw, 670px" /><figcaption class="wp-element-caption">建物の全壊を減らすための耐震化対策の重要性を示すグラフ（内閣府提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">AI・デジタル社会の減災対策の視点を</h2>



<p>　生成AIの急速な普及などで私たちの生活は大きく変容し、特に「大都市のAI・デジタル社会化」が進んでいる。その半面、大地震などの自然災害に対する脆弱性も危惧されている。1995年の阪神・淡路大震災では道路・建物の崩壊・損壊のほか電話がつながらないといった通信インフラの脆弱性が問題になった。</p>



<p>　首都直下地震が起きた場合、AIサービスが停止する、クラウドが止まる、キャッシュレス決済ができない、行政デジタルサービスが使えない、といった事態が想定される。もちろんデータセンターは免震対策が施されているが、長時間の電力供給や複雑な通信網の確保をはじめ、周辺機器を含めたシステム全体が完全に守られるという保証はない。また、GPSが途絶したり誤差が生じたりすると、物流などさまざまな分野に悪影響が及ぶとみられる。これら「見えないデジタルインフラ」の被害は、首都圏の中枢機能に支障をきたす危険性が大きい。</p>



<p>　今回改定された首都直下地震緊急対策推進基本計画は、きめ細かい減災対策を体系的に網羅している。ただ、大都市に浸透している5G通信網、クラウドコンピューティングなどの 「デジタルインフラ」や、製造・物流・交通分野などの「サイバーフィジカルシステム（CPS）」が抱える脆弱性の対策については技術的な課題も多い。</p>



<p>　首都の直下を襲う地震は、もはや単なる自然災害ではない。現代社会を支えるデジタル基盤を直撃する「巨大都市システム災害」でもある。耐震化や火災対策だけでなく、電力、通信、クラウド・データ管理なども含めた「デジタル・レジリエンス」をいかに強化し、AI時代の首都機能をどう守るかが問われる。首都直下地震への備えは新たな段階を迎えた。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="690" height="482" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_06.jpg" alt="AI・デジタル社会になっても多くの人が首都東京に集まっている。首都直下地震による影響を紹介するイメージ動画の一場面（内閣府提供）" class="wp-image-57528" style="width:600px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_06.jpg 690w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_06-300x210.jpg 300w" sizes="(max-width: 690px) 100vw, 690px" /><figcaption class="wp-element-caption">AI・デジタル社会になっても多くの人が首都東京に集まっている。首都直下地震による影響を紹介するイメージ動画の一場面（内閣府提供）</figcaption></figure></div>

<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="386" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_07.jpg" alt="サイバー空間と現実空間が融合した「人間中心社会」の「Society5.0」のイメージ図の一部（文部科学省提供）" class="wp-image-57529" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_07.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260708_s01_07-300x154.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">サイバー空間と現実空間が融合した「人間中心社会」の「Society5.0」のイメージ図の一部（文部科学省提供）</figcaption></figure></div>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>小惑星トリフネは「雪だるま」「お団子」 はやぶさ2探査、撮影に成功</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20260707_n01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 07 Jul 2026 06:19:07 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　探査機「はやぶさ2」が小惑星「トリフネ」の直近を通過するフライバイ探査に成功したと、宇宙航空研究開発機構（JAXA）などが発表した。地球から1億キロのかなたで、最接近時の相対速度は秒速5.3キロ。6日に会見した探査チー [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　探査機「はやぶさ2」が小惑星「トリフネ」の直近を通過するフライバイ探査に成功したと、宇宙航空研究開発機構（JAXA）などが発表した。地球から1億キロのかなたで、最接近時の相対速度は秒速5.3キロ。6日に会見した探査チームは、はやぶさ2が撮影したトリフネの精細な写真を公開し、形状を「雪だるまのようだ」「お団子」と表現。担当者は「フライバイの一瞬でいい写真が撮れ、感動した」と語った。計画した全ての観測に成功し、機体はその後も正常という。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="600" height="529" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_01.jpg" alt="はやぶさ2が最接近の1秒前に撮影したトリフネ（JAXA、東京大学、千葉工業大学、東京科学大学、産業技術総合研究所、仏パリ天文台、スペイン・カナリア天体物理研究所提供）" class="wp-image-57513" style="width:500px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_01.jpg 600w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_01-300x265.jpg 300w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /><figcaption class="wp-element-caption">はやぶさ2が最接近の1秒前に撮影したトリフネ（JAXA、東京大学、千葉工業大学、東京科学大学、産業技術総合研究所、仏パリ天文台、スペイン・カナリア天体物理研究所提供）</figcaption></figure></div>


<p>　はやぶさ2は加速用のイオンエンジン（電気推進エンジン）を噴射して軌道制御を繰り返し、トリフネを目指した。5日午後には機体に搭載したコンピューターによる自律制御に移行。同6時半、トリフネに最接近した。計画ではトリフネの中心から800メートルの“超接近”を目指しており、その実績値やトリフネの大きさを今後、解析するという。</p>



<div class="wp-block-group"><div class="wp-block-group__inner-container is-layout-constrained wp-block-group-is-layout-constrained"><div class="wp-block-image">
<figure class="alignright size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="640" height="425" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_02.jpg" alt="フライバイ成功を確認し、沸く管制室＝5日午後、相模原市中央区（JAXA提供）" class="wp-image-57514" style="width:340px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_02.jpg 640w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_02-300x199.jpg 300w" sizes="(max-width: 640px) 100vw, 640px" /><figcaption class="wp-element-caption">フライバイ成功を確認し、沸く管制室＝5日午後、相模原市中央区（JAXA提供）</figcaption></figure></div>


<p>　6日の会見で公開したのは、はやぶさ2の望遠カメラで、最接近時刻の1秒前に撮影したとみられるトリフネの写真。細長く、中央が深くくびれた形状が特徴だ。チーム長を務めるJAXA宇宙科学研究所の三桝（みます）裕也研究開発主幹は「フライバイが速いため、小惑星の手前側は画像が少しブレている。それでも、こんなにいい写真が撮れるのかと衝撃的で感動した」と話した。</p>
</div></div>



<p>　初代「はやぶさ」が2005年に探査した小惑星「イトカワ」は、撮影した写真から（動物の）ラッコ型、はやぶさ2がトリフネの前に18～19年に探査した「リュウグウ」は（玩具の）こま型などと例えて表現された。トリフネについて記者が問うと、三桝氏は「雪だるま」と応じた。吉川真准教授は「お団子をくっつけたような形」と表現した。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="270" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_03.jpg" alt="（左）ラッコ型と呼ばれたイトカワ＝JAXA提供、（右）こま型と呼ばれたリュウグウ＝JAXA、東京大学など提供" class="wp-image-57515" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_03.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_03-300x108.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">（左）ラッコ型と呼ばれたイトカワ＝JAXA提供、（右）こま型と呼ばれたリュウグウ＝JAXA、東京大学など提供</figcaption></figure></div>


<p>　トリフネの形状をめぐり、吉川氏は次のように解説した。「一見してイトカワに似ている。どちらも、2つの小惑星がくっついてできた『コンタクトバイナリー』だ。ただしトリフネの方が、くびれがより深い。まだくっついたばかりで、時間が経つと隕石（いんせき）の衝突などの衝撃で、くびれが埋まってイトカワのようになるとの見方がある。詳しい議論が必要だ。太陽系にコンタクトバイナリーは多いとみられる。小惑星同士が衝突し、壊れずにくっつくことが結構あるのではないか。こういうことを調べていくと、太陽系初期に微惑星が生まれ、現在に至る過程を調べる上で役立つかもしれない。今回、新たなサンプルが加わり、面白くなりそうだ」</p>



<p>　観測はトリフネを撮影する光学望遠カメラのほか、温度を測定する中間赤外カメラ、水の存在や構成物質を調べる近赤外分光計、観測の正確な距離を把握するレーザー高度計の活用を計画し、いずれも成功した。小惑星のフライバイでレーザー高度計の計測に成功したのは、世界初とみられるという。吉川氏は「疾走する馬から的を射抜く流鏑馬（やぶさめ）のようなことができ、本当に画期的だ」と説明した。</p>



<p>　トリフネの直近を通過するフライバイにより、地球で暮らす人類を天体の衝突から守る「プラネタリーディフェンス（惑星防衛）」に役立つ技術を獲得することも目指した。今回の成功により、危険な天体の素性を調べたり、軌道を変更して地球を守ったりすることにつながる基礎技術を獲得した。</p>



<div class="wp-block-group"><div class="wp-block-group__inner-container is-layout-constrained wp-block-group-is-layout-constrained"><div class="wp-block-image">
<figure class="alignright size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="600" height="425" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_04.jpg" alt="リュウグウを探査するはやぶさ2の想像図（池下章裕氏提供）" class="wp-image-57516" style="width:340px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_04.jpg 600w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_04-300x213.jpg 300w" sizes="(max-width: 600px) 100vw, 600px" /><figcaption class="wp-element-caption">リュウグウを探査するはやぶさ2の想像図（池下章裕氏提供）</figcaption></figure></div>


<p>　はやぶさ2は2014年12月に地球を出発。リュウグウを訪れ、2回にわたり着地して試料を採取するなど探査した。20年12月に地球に帰還し、上空から試料の入ったカプセルを分離して地上に着地させた。燃料に残量があることや、さらに科学の成果を期待できることなどから運用を延長。今後は、27年12月と28年6月の2回にわたり地球の引力を利用して軌道変更する「スイングバイ」を経て、31年7月に最終目的地の小惑星｢1998KY26｣に到着する。その後、地球に再び帰ることはない。</p>
</div></div>



<p>　延長運用により、機体は設計上の寿命を超過している。イオンエンジンや、リアクションホイールと呼ばれる姿勢制御装置に劣化や問題がみられる。今後も劣化が進み、さらに“綱渡り”の運用となる恐れがある。三桝氏は「機器をケアしながら運用していくしかない。初代はやぶさはこれ以上に苦しい状況で地球に帰還しており、その精神を見習って最後の最後までやる」と意気込みを語った。</p>



<p>　発表はJAXAのほか会津大学、大島商船高等専門学校、京都産業大学、公立鳥取環境大学、国立天文台、米ジョージア工科大学、千葉工業大学、東京大学、名古屋大学、北海道大学が行った。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="501" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_05.jpg" alt="会見後に撮影に応じるJAXA宇宙科学研究所の（左から）吉川真准教授、三桝裕也研究開発主幹、藤本正樹所長＝6日、東京都千代田区" class="wp-image-57517" style="width:600px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_05.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260707_n01_05-300x200.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">会見後に撮影に応じるJAXA宇宙科学研究所の（左から）吉川真准教授、三桝裕也研究開発主幹、藤本正樹所長＝6日、東京都千代田区</figcaption></figure></div>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>【人生100年社会 支える科学 4】へその緒由来の細胞でサルコペニアに挑む ヒューマンライフコード社長 原田雅充さん</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/stories/20260706_s01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 06 Jul 2026 07:19:17 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=stories#038;p=57487</guid>

					<description><![CDATA[　筋肉量が減少し身体機能が低下する高齢者の「サルコペニア」は、生理的老化現象ではなく、疾患として捉える見方が医学の世界で広がりつつある。体の内部の炎症が主な原因だが、「臍帯（さいたい＝へその緒）」から抽出した細胞を培養し [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　筋肉量が減少し身体機能が低下する高齢者の「サルコペニア」は、生理的老化現象ではなく、疾患として捉える見方が医学の世界で広がりつつある。体の内部の炎症が主な原因だが、「臍帯（さいたい＝へその緒）」から抽出した細胞を培養し、再生医療等製品として承認をめざしているのが医療ベンチャー、ヒューマンライフコード（HLC、東京都中央区）だ。身体の不調を加齢だけでなく炎症が積み重なるプロセスとして捉え、健康寿命の延伸に挑む。4年以内の製品化を見据えた技術の核心と事業の道筋を原田雅充社長に聞いた。</p>



<h2 class="wp-block-heading">体の中でくすぶる火事を消し健康寿命延伸</h2>



<p><strong>―まずサルコペニアとはどのような疾患なのでしょうか。</strong></p>



<p>　加齢による心身の全般的な衰えをフレイルと呼びますが、サルコペニアは筋肉量と筋力の低下によって歩行や立ち上がりが困難になる状態を指す疾患名です。2016年に米国の公的機関によって国際疾病分類に登録された治療が必要な病気です。世界的に対策が急がれており、高齢化が進む日本でも生活の質（QOL）の低下を防ぐうえで喫緊の課題です。日本では主に握力と筋肉量で診断されています。</p>



<p>　人の体はけがや病気によって炎症が起きると、自然に回復する力を備えています。しかし歳を重ねるにつれ、回復力が弱まり、「インフラメイジング」と呼ばれる慢性の微小炎症が続きます。例えると体の中で長期間、火がくすぶっている状態です。やがて筋肉が分解されて衰えたり、炎症が血管にダメージを与えて老化を早めたり、臓器の機能低下で糖尿病や認知症などの発症リスクが高まったりします。サルコペニアの慢性炎症をコントロールすることができれば、健康寿命の延伸にもつながると期待されます。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="300" height="467" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_01.jpg" alt="原田雅充さん。「サルコペニアの慢性炎症をコントロールできれば、健康寿命の延伸につながる」と話す" class="wp-image-57489" style="width:300px;height:auto" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_01.jpg 300w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_01-193x300.jpg 193w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /><figcaption class="wp-element-caption">原田雅充さん。「サルコペニアの慢性炎症をコントロールできれば、健康寿命の延伸につながる」と話す</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">「細胞で治す」で特許を取得</h2>



<p><strong>―サルコペニアになぜ臍帯が有効なのでしょうか。科学的な仕組みを教えてください。</strong></p>



<p>　HLCが目指しているのは、臍帯から取り出した細胞を活用し、炎症を鎮めて、組織の再生を促す加齢性疾患に対する新たな治療法の確立です。「間葉系間質細胞（MSC）」と呼ばれるこの細胞は炎症でダメージを受けた組織を修復し再生を助けるほか、炎症を鎮めたりする免疫調整能力を備えています。母親と赤ちゃんをつなぐ臍帯に含まれるMSCは極めて若い細胞です。</p>



<p>　一方、骨髄などから採取される細胞は、提供者の年齢によっては細胞の増殖能力や修復能力が低下します。こうした点で臍帯由来のMSCは増殖が速く、しかも提供者の年齢にばらつきがないので安定した品質の細胞を得ることができます。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="726" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_02.jpg" alt="臍帯由来の間葉系間質細胞（MSC）は人間の様々な疾病に対応する（ヒューマンライフコード提供）" class="wp-image-57490" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_02.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_02-300x290.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">臍帯由来の間葉系間質細胞（MSC）は人間の様々な疾病に対応する（ヒューマンライフコード提供）</figcaption></figure></div>


<p>　私たちは体を修復する活性をもつ細胞を培養して、医薬品として使えるようにすることで弱った体を回復することができるとみています。体の中では細胞同士が炎症抑制や修復指示など情報のやりとりをしています。その時に指示役を担う物質がMSCから分泌されるサイトカインと呼ばれるタンパク質です。2026年1月、特定のサイトカインが筋肉の萎縮を抑制するというメカニズムを発見し、日本で治療用途に関する技術の特許を取得しました。米国でも「用途特許（効能・効果や使用目的を保護する特許）」を出願中です。</p>



<p>　臍帯由来の細胞が、筋肉を壊す物質を抑え、筋肉を作る細胞を活性化させることを証明しました。「サルコペニアを細胞で治す」というこれまでにない分野で、他社が簡単にはまねできない武器を手に入れたことになります。</p>



<p><strong>―培養のプロセスをわかりやすく教えてください。</strong></p>



<p>　HLCは東京大学医科学研究所（東京都港区）と連携し、培地に人や動物由来の血清を一切加えず、「完全無血清培養」と標準化された製法により、1本の臍帯から数百～数千人分の製剤を均一に生産できる体制を整えつつあります。出産の現場で役目を終えた、長さ50センチほどの1本の臍帯は通常、医療廃棄物としてそのまま処分されている組織です。同研究所の「臍帯血・臍帯バンク」がお母さまの同意のもとで臍帯を丁寧に回収し、徹底的に洗浄したうえで、臍帯組織を細かく切り分けます。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="563" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_03.jpg" alt="「体を修復する活性をもつ細胞を培養して、医薬品として使えるようにしたい」と話す" class="wp-image-57494" style="width:580px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_03.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_03-300x225.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">「体を修復する活性をもつ細胞を培養して、医薬品として使えるようにしたい」と話す</figcaption></figure></div>


<p>　同研究所附属病院セルプロセッシング・輸血部准教授の長村登紀子氏らのグループは、この組織片から細胞をより効率よく取り出すための方法を開発しました。完全無血清培地の中で、体内と同じ37度と程よい湿度・二酸化炭素濃度の環境でじっくり育てていきます。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="392" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_04_r.jpg" alt="臍帯の細胞は若くて年齢のばらつきがない（ヒューマンライフコード提供）" class="wp-image-57506" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_04_r.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_04_r-300x157.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">臍帯の細胞は若くて年齢のばらつきがない（ヒューマンライフコード提供）</figcaption></figure></div>


<p>　増えた細胞は、「MSCであること」「ウイルスや細菌が混じっていないこと」「免疫を整える力を持っていること」を何重もの検査で確認したうえで、液体窒素（マイナス196度）の中で凍らせて大切に保管します。この凍結の瞬間に細胞が傷まないようにする保存液こそ、長村氏が取得された特許技術の結晶です。</p>



<p>　こうして備蓄された種細胞「マスターセル」が、必要とされる時に解凍され、さらに培養を重ねて、最終的に患者さんに投与される臍帯由来のMSC製品「HLC-001」となっていきます。この一連のすべての工程が、東京大学医科学研究所附属病院にある「セルプロセッシングセンター」という場所で行われています。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="381" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_05_r.jpg" alt="1本のへその緒から多くの最終製品が作り出せる可能性がある（ヒューマンライフコード提供）" class="wp-image-57507" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_05_r.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_05_r-300x152.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">1本のへその緒から多くの最終製品が作り出せる可能性がある（ヒューマンライフコード提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">東京都が規制緩和、正式な医療資源に</h2>



<p><strong>―なぜ日本でこれまで臍帯活用がなかったのでしょうか。</strong></p>



<p>　MSCの有用性は以前から国内外で知られていたのですが、日本での壁は「規制」でした 。長い間、臍帯は地方自治体の「胞衣（えな）条例」によって廃棄物として扱われてきました。病院では研究目的であっても自由に扱うことができませんでした。</p>



<p>　私たちは行政や医療機関へ粘り強く説明し、2019年に東京都で規制緩和が実現。日本で初めて臍帯を正式な医療資源として扱える枠組みが整いました。東京大学医科学研究所と連携し、全国の産科病院と協力体制を築いて、臍帯を確保しています。</p>



<p><strong>―日本での臨床試験の進捗を教えてください。</strong></p>



<p>　白血病の患者さんに起こる重篤な合併症である「非感染性肺合併症」を対象に治験を進めています。現在は国への承認申請に向けた最終段階である「第3相臨床試験」を実施しています。まずは、こうした命に関わる希少難治性疾患を対象に、再生医療等製品としての承認を目指しています。そのうえで、サルコペニアなどの加齢性疾患への応用についても検証を進めながら、社会に広めていきたいと考えています。</p>



<p><strong>―東京科学大学とも連携しています。どんな研究ですか。</strong></p>



<p>　既存の薬が効かない難治性自己免疫疾患を対象に、MSCによる新しい治療法の開発に取り組んでいます。培養細胞や動物モデルを用いた基礎研究で、MSCが暴走した免疫を鎮める仕組みが解明されつつあり、治療効果の可能性を示唆する結果が得られています。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="549" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_06.jpg" alt="東京大学医科学研究所（東京都港区）に研究開発拠点と細胞製造施設を持ち、再生医療等製品としての承認取得を目指す" class="wp-image-57498" style="width:580px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_06.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_06-300x220.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">東京大学医科学研究所（東京都港区）に研究開発拠点と細胞製造施設を持ち、再生医療等製品としての承認取得を目指す</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">ブラジル、米国で臨床研究や細胞製造の国際標準化</h2>



<p><strong>―グローバル展開にも取り組んでいます。</strong></p>



<p>　ブラジルでもサルコペニアの状態を評価するための臨床研究を進めており、成果は2026年3月末の国際学会で発表しました。サルコペニアの症状を有する高齢者を対象に、血液中の代謝物を解析した結果、サルコペニアの状態を識別するバイオマーカー（指標）候補が見出されています。将来サルコペニアの診断に役立つ可能性があり、私たちが開発する細胞治療の効果が確認できると思います。ブラジルに着目したのは高齢化が進む新興国であると同時に、多民族国家であるためです。このような生活環境でデータを取得することで、多様な背景を持つ高齢者におけるサルコペニアの特徴を把握し、今後の研究開発やグローバル展開に生かしていきたいと考えています。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="587" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_07.jpg" alt="「ブラジルや米国などでグローバル展開を加速する」と意気込む" class="wp-image-57499" style="width:570px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_07.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_07-300x235.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">「ブラジルや米国などでグローバル展開を加速する」と意気込む</figcaption></figure></div>


<p>　また米国では最大の独立非営利血液バンク「New York Blood Center」と連携し、細胞製造の国際標準化に取り組んでいます。HLCが日本で確立した製造・品質管理プロセスを技術移転し、安定して供給できるようにしたい。</p>



<p>　一方で、再生医療のグローバル展開では、国ごとに異なる薬事規制や倫理基準への対応が大きな課題です。米国食品医薬品局（FDA）や欧州医薬品庁（EMA）など、それぞれ求められる品質・安全性評価や承認プロセスが異なるため、各地域に応じた開発戦略が必要です。各国の研究機関や医療機関、企業と連携しながら、地域ごとのデータや知見を蓄積し、グローバルで活用できる細胞治療の基盤整備を進めます。</p>



<p><strong>―日本国内で製品化された場合、高齢者はどのように利用できるようになりますか。</strong></p>



<p>　「再生医療等製品」として承認されれば、公的医療保険の適用を目指します。大量生産技術の改良を重ね、将来は高齢者が病院で点滴を受けるイメージで利用できるようにしたい。細胞治療を身近な医療として安心して受けていただけるエコシステムを構築したいです。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="417" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_08_r.jpg" alt="臍帯由来細胞治療が実用化すればサルコペニアの抑制になる（ヒューマンライフコード提供）" class="wp-image-57508" style="width:750px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_08_r.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_08_r-300x167.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">臍帯由来細胞治療が実用化すればサルコペニアの抑制になる（ヒューマンライフコード提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">国内の医薬各社とも供給網を構築</h2>



<p><strong>―大手企業とサプライチェーン（供給網）で連携しています。役割分担は。</strong></p>



<p>　東京大学医科学研究所と連携し、その成果を踏まえ各分野のパートナー企業と連携しながら、実用化に向けた体制を構築中です。ロート製薬とは商用化を見据えた製造領域で連携しており、安定的な生産体制の確立に取り組んでいます。アルフレッサとは医薬品流通の分野で組んでおり、将来、全国の医療機関へ安全に届けるための物流体制の構築を進めています。持田製薬とは臨床開発や製品化に向けた知見を取り入れながら、開発・事業化を推進。研究開発から製造、物流に至るまで一貫したサプライチェーンの構築を進めています。</p>



<h2 class="wp-block-heading">4年以内に最初の製品の販売開始を目指す</h2>



<p><strong>―事業面での見通しと、実際の薬としての販売開始のメドはいつごろになりますか。</strong></p>



<p>　直近では2025年12月に約20億円の資金調達を実施し、商用化に向けた投資を加速させています。研究開発の段階なので経常赤字ですが、持田製薬との共同事業化契約を交わし、開発費の負担軽減と将来の収益化ルートを確保しています。23年9月には厚生労働省から「再生医療等製品の製造販売業許可」を取得しました。これまでは「研究」でしたが、許可により「自ら製品を作る」フェーズ、つまり「商用化・産業化」のステージに移行しました。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="387" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_09_r.jpg" alt="産学と連携し供給網づくりに乗り出している（ヒューマンライフコード提供）" class="wp-image-57509" style="width:750px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_09_r.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_09_r-300x155.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">産学と連携し供給網づくりに乗り出している（ヒューマンライフコード提供）</figcaption></figure></div>


<p>　将来的には世界各地に製造拠点を整備する「国産国消型」を視野に入れており、各国のパートナーと連携しながら、エコシステムの構築を進めていきます。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="579" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_10.jpg" alt="国内外のパートナーと共にエコシステムを築く（ヒューマンライフコード提供）" class="wp-image-57503" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_10.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260706_s01_10-300x232.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">国内外のパートナーと共にエコシステムを築く（ヒューマンライフコード提供）</figcaption></figure></div>


<p>　まずは薬事承認を得て4年以内に最初の製品となる「HLC-001」の販売開始を目指し、その後に高齢者疾患であるサルコペニアへと市場を広げる「水平展開」を描いています。サルコペニアは日本だけでなく世界的に患者数が増加している重要な健康課題です。私たちは細胞治療という新たな選択肢を通じて、健康寿命の延伸やQOLの向上に貢献していきます。</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>東京湾から紐解く クジラの謎</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/sciencechannel/m250001012/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 03 Jul 2026 05:58:18 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=video#038;p=57469</guid>

					<description><![CDATA[　海に暮らす大型哺乳類クジラ。 日本の近海でも見られる身近な存在でありながら、その生態や体の仕組みには、今なお多くの謎が残されています。今回は、クジラの研究に注目します。 再生時間：5分　制作年：2026年 出演・協力機 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　海に暮らす大型哺乳類クジラ。 日本の近海でも見られる身近な存在でありながら、その生態や体の仕組みには、今なお多くの謎が残されています。今回は、クジラの研究に注目します。</p>



<figure class="wp-block-embed is-type-video is-provider-youtube wp-block-embed-youtube wp-embed-aspect-16-9 wp-has-aspect-ratio"><div class="wp-block-embed__wrapper">
<iframe loading="lazy" title="東京湾から紐解く クジラの謎｜Science Portal動画ニュース（2026年7月3日配信）" width="500" height="281" src="https://www.youtube.com/embed/ZwEndOKuSpc?feature=oembed" frameborder="0" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" referrerpolicy="strict-origin-when-cross-origin" allowfullscreen></iframe>
</div></figure>



<p>再生時間：5分　制作年：2026年</p>



<h2 class="wp-block-heading">出演・協力機関</h2>



<p>中村玄（東京海洋大学学術研究院 海洋環境科学部門 准教授）<br>山田芽以（東京海洋大学 鯨類学研究室）</p>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>はやぶさ2、5日に小惑星「トリフネ」探査 なるか800メートルの超接近</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/stories/20260703_s01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 03 Jul 2026 04:12:47 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=stories#038;p=57459</guid>

					<description><![CDATA[　探査機「はやぶさ2」が5日、小惑星「トリフネ」の探査に挑む。同機は元々、別の小惑星「リュウグウ」の探査を目的に開発、運用され、2020年にいったん地球に帰還して試料を届けた。運用を延長し最終目的地の小惑星に向かう道すが [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　探査機「はやぶさ2」が5日、小惑星「トリフネ」の探査に挑む。同機は元々、別の小惑星「リュウグウ」の探査を目的に開発、運用され、2020年にいったん地球に帰還して試料を届けた。運用を延長し最終目的地の小惑星に向かう道すがら、トリフネを観測する。傍らを通過する「フライバイ」探査で、やり直しのできない一発勝負。高精度の制御が必要な、星の中心から800メートルの“超接近”を計画している。宇宙航空研究開発機構（JAXA）宇宙科学研究所のチームは「打ち上げから年数が経って機体が劣化する中で、（衝突の）危険がゼロではない探査になる」と気を引き締める。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="530" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_01.jpg" alt="刻々と移動し、トリフネ（右上）をフライバイするはやぶさ2の想像図（池下章裕氏提供）" class="wp-image-57460" style="width:600px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_01.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_01-300x212.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">刻々と移動し、トリフネ（右上）をフライバイするはやぶさ2の想像図（池下章裕氏提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">フライバイ、史上最短級にトライ</h2>



<p>　トリフネ（2001CC21）は地球に接近する軌道を持つ小惑星の1つ。地上からの観測により形は細長く、長い直径が750メートル程度などと推定されるが、定かではない。初代「はやぶさ」が探査した小惑星「イトカワ」のような岩石質で炭素が少ない「S型小惑星」だ。なお探査済みのリュウグウは岩石ででき、成分に炭素が多い「C型」に分類される。</p>



<p>　はやぶさ2は5日午後6時半頃、トリフネの中心から800メートルの通過を試みる。この時の相対速度は秒速5.2キロ。2031年7月に小惑星「1998KY26」に到着するための通過点であるため、長期間とどまらずにフライバイにより探査する。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="670" height="569" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_02.jpg" alt="フライバイを控え、はやぶさ2が700万キロの距離から撮影したトリフネ（赤い矢印の先）。先月20～21日に撮影し合成したもの（JAXA、千葉工業大学、日本スペースガード協会提供。一部改変）" class="wp-image-57461" style="width:500px;height:auto" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_02.jpg 670w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_02-300x255.jpg 300w" sizes="(max-width: 670px) 100vw, 670px" /><figcaption class="wp-element-caption">フライバイを控え、はやぶさ2が700万キロの距離から撮影したトリフネ（赤い矢印の先）。先月20～21日に撮影し合成したもの（JAXA、千葉工業大学、日本スペースガード協会提供。一部改変）</figcaption></figure></div>


<p>　はやぶさ2は元々、リュウグウの上空に長く滞在して探査する「ランデブー探査」向けに設計された。そのため、フライバイで科学的に価値のある探査をするには、天体にかなり接近する必要がある。そこで今回、トリフネにぶつかる危険性の低いギリギリの距離を通過することになった。</p>



<p>　接近できる距離はトリフネの大きさや形状に加え、はやぶさ2の機器類の動作の精度にもよる。チームはトリフネを大きめに見積もるなど慎重に検討し、最終的に中心から800メートルの領域を目指せると判断した。なおカメラの位置の制約で、最接近の瞬間にはトリフネを撮影できない。</p>



<p>　従来の各国のフライバイ探査では、天体から最接近時に数百～数千キロ離れた事例が目立つ。JAXAの資料によると、史上最短は中国の月周回機「嫦娥（じょうが）2号」で、2012年に小惑星の表面から770メートル程度まで近づいている。今回はこれに匹敵する距離となる。</p>



<h2 class="wp-block-heading">「心苦しいが、俺たちがついてるぞ」</h2>



<div class="wp-block-group"><div class="wp-block-group__inner-container is-layout-constrained wp-block-group-is-layout-constrained"><div class="wp-block-image">
<figure class="alignright size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="440" height="540" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_03.jpg" alt="会見する三桝研究開発主幹＝先月24日、東京都千代田区" class="wp-image-57462" style="width:280px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_03.jpg 440w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_03-244x300.jpg 244w" sizes="(max-width: 440px) 100vw, 440px" /><figcaption class="wp-element-caption">会見する三桝研究開発主幹＝先月24日、東京都千代田区</figcaption></figure></div>


<p>　はやぶさ2はトリフネを目指す軌道制御のため、エンジン噴射を繰り返してきた。フライバイ前日の4日にもエンジン噴射を計画。当日は10時間前に、フライバイ本番運用を始める。3時間前に地上からの指示で最後のエンジン噴射を実施。2時間前以降は地上の指示によらず、機体に搭載したコンピューターの自律制御でフライバイに至る計画だ。</p>



<p>　チーム長を務める宇宙研の三桝（みます）裕也研究開発主幹は、探査を前に先月24日に会見し「（2020年の地球帰還から）トリフネを目指してきて、非常に感慨深い。至近距離を通過させるので危険はゼロではない。はやぶさ2に対し心苦しいが『俺たちがついてるぞ』という気持ち。小惑星のすぐ近くを通りたいドキドキと、どんな小惑星が見えるかのワクワクが、半々ぐらいだ」と心境を語った。</p>
</div></div>



<p>　JAXAはフライバイの時間帯に、運用状況のインターネット中継を予定。結果は翌6日午後、記者会見で明らかにする。</p>



<h2 class="wp-block-heading">イオンエンジンなど劣化、工夫重ね航行中</h2>



<p>　はやぶさ2は2014年12月に地球を出発。リュウグウでは18年6月～19年11月に上空にとどまり、2回にわたり着地して試料を採取するなど、探査を続けた。20年12月、地球の上空22万キロで試料の入ったカプセルを分離し、地上に着地させた。この時点で機体に、加速用のイオンエンジン（電気推進エンジン）の燃料が打ち上げ時の半分、姿勢制御用の化学エンジンの燃料が3割ほど残っており、まだ余力があった。さらに運用を続ければ技術を磨け、また新たな探査機を仕立てずに低予算で別の天体を探査できることから、延長が決まった。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="469" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_04.jpg" alt="はやぶさ2の旅。2020年12月に地球に帰還し、さらに別の小惑星へと航行中。いよいよトリフネに挑戦だ（画像はJAXA、池下章裕氏、東京大など提供。想像図を含む）" class="wp-image-57463" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_04.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_04-300x188.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">はやぶさ2の旅。2020年12月に地球に帰還し、さらに別の小惑星へと航行中。いよいよトリフネに挑戦だ（画像はJAXA、池下章裕氏、東京大など提供。想像図を含む）</figcaption></figure></div>


<p>　ただし、機体の設計上の寿命は地球帰還まで。既に5年あまり延長して航行しており、あちこち劣化が進んでいる。イオンエンジンは4基のうち3基の劣化が著しく、温存してきた1基を使用中。この1基も劣化の兆候が出始めており、運用の試行錯誤が続いている。リアクションホイールと呼ばれる姿勢制御装置は、昨年3月に異常が発生しており、問題を回避する工夫をして使っているのが実情だ。カメラやアンテナなどにも注意点がある。化学エンジンや太陽電池パネルは正常という。</p>



<p>　はやぶさ2は地球再出発から既に54億キロあまりを航行し、現在は地球から1億キロの位置にある。トリフネの探査後は、2027年12月と28年6月の2回にわたり地球の引力を利用して軌道変更する「スイングバイ」を経て、31年7月に最終目的地の1998KY26に到着する計画だ。片道切符で、地球に再び帰ることはない。</p>



<p>　宇宙研の吉川真准教授は「いろいろな不具合や劣化があるが、トリフネのフライバイを成功させ、どうにか1998KY26にたどり着いてほしい。頑張れと言いたい」と願いを込める。</p>



<h2 class="wp-block-heading">制約大きいが、貴重なデータを獲得</h2>



<p>　探査機には多くの場合、理学と工学の目的がある。今回の探査は理学では、太陽系や天体の理解への貢献を目指す。トリフネの大きさや形、表面物質、状態を知ることで小さな天体の知識を深め、物質の移動など、太陽系の歴史の研究材料にする。</p>



<p>　観測装置の主役は、トリフネを撮影する光学カメラ。このほか温度を測定する中間赤外カメラ、水の存在や構成物質を調べる近赤外分光計、観測の正確な位置を把握するためのレーザー高度計を活用する。</p>



<p>　吉川氏は「フライバイ探査で得られるデータは少ないが、それでも非常に貴重な機会だ。これまでに（世界の）探査機が接近して高精細な画像が撮れている小惑星は、せいぜい十数個。そのうち地球に接近するのは6個しかないが、そこに新たなデータを加える」と説明する。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="500" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_05.jpg" alt="会見で小惑星の模型を示す吉川准教授＝先月24日、東京都千代田区" class="wp-image-57464" style="width:600px;height:auto" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_05.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_05-300x200.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">会見で小惑星の模型を示す吉川准教授＝先月24日、東京都千代田区</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">天体の地球衝突、リスクや対策の研究に貢献</h2>



<p>　工学の目標は、超接近のフライバイにより、地球で暮らす人類を天体の衝突から守る「プラネタリーディフェンス（惑星防衛）」に役立つ技術を獲得することだ。小惑星の至近を正確に通過できれば、危険な天体の素性を調べたり、軌道を変更して地球を危機から守ったりするための、基礎技術となる。</p>



<p>　白亜紀末の6600万年前、直径10キロの天体が地球に衝突して恐竜絶滅の大きな原因になったことが知られているが、これに限らず、地球には大小の天体が衝突し続けてきた。将来、人類を脅かすような天体が迫った時、われわれは対応に迫られる。</p>



<p>　太陽系では155万個の小惑星が発見済み。このうち地球に近づくものは4万2000個ほどあるが、吉川氏によると、今後100年ほどは衝突しないことが分かっている。直径10キロ以上のものは全て見つけたとみられ、恐竜を絶滅させた規模の衝突の心配はないという。ただ、特に1キロ以下のものの発見数が増え続けており、つまり未発見の天体が多いことを物語っている。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="500" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_06.jpg" alt="地球に接近する小惑星の、発見済みの数の推移。縦軸が数、横軸は年。特に1キロ以下のもの（青色とオレンジ色）の発見数が増え続けている（NASA提供）" class="wp-image-57465" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_06.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_06-300x200.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">地球に接近する小惑星の、発見済みの数の推移。縦軸が数、横軸は年。特に1キロ以下のもの（青色とオレンジ色）の発見数が増え続けている（NASA提供）</figcaption></figure></div>


<p>　2013年にはロシア・チェリャビンスク州に直径17メートルの隕石が落ち、深刻な被害が起きた。こうした天体を衝突前に早目に発見し、避難などにより被害を抑えることや、天体に機体をぶつけて軌道を反らす技術開発が重要となる。プラネタリーディフェンスは防災の一分野といえる。</p>



<p>　米国は2022年に機体「ダート」を小惑星に衝突させ、小惑星の軌道を変更することに成功した。トリフネへの超接近フライバイにより、わが国も“小さな天体に機体をぶつける”ことに匹敵する技術を実証することになる。</p>



<p>　地球に衝突する天体が見つかり、かつ時間の猶予が短い場合に、既に別の目的で航行中の探査機を向かわせて緊急フライバイ探査をすることが考えられる。今回はその実証実験の意味も込められている。</p>



<h2 class="wp-block-heading">週末は久々、はやぶさフィーバー</h2>



<div class="wp-block-group"><div class="wp-block-group__inner-container is-layout-constrained wp-block-group-is-layout-constrained"><div class="wp-block-image">
<figure class="alignright size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="550" height="733" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_07.jpg" alt="トリフネの縮小模型（手前）。地上からの観測ではこのようにやや細長いと考えられたが、さて実際は…＝先月24日、東京都千代田区" class="wp-image-57466" style="width:340px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_07.jpg 550w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260703_s01_07-225x300.jpg 225w" sizes="(max-width: 550px) 100vw, 550px" /><figcaption class="wp-element-caption">トリフネの縮小模型（手前）。地上からの観測ではこのようにやや細長いと考えられたが、さて実際は…＝先月24日、東京都千代田区</figcaption></figure></div>


<p>　なおトリフネの名は公募で、3082件の中から2024年9月に決まった。日本神話の神や神が乗る船「天鳥船（あめのとりふね）」が由来で、はやぶさ2が探査を安全に行えるようにとの願いを込めた。</p>



<p>　初代はやぶさはトラブルを重ねて絶望視されながらも、執念の運用で2010年、初めて人類に小惑星の試料を届けた。夜空に輝きながら燃え尽き、身を挺（てい）して自らの使命を完遂した物語が、複数の映画になるなど国民的な感動を呼んだ。うって変わって“しぶとく”旅を続ける後継機のはやぶさ2にとって、今回のトリフネ探査は重要な一章となる。</p>



<p>　イトカワやリュウグウの精細な写真をはやぶさ、はやぶさ2が地球に送信した時、それらの予想外の姿が人類を驚嘆させた。トリフネの姿はいかに。今週末は久々に、はやぶさフィーバーがやって来る。</p>
</div></div>
]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>AI法【前編】人生を委ねる危機感、どう持つか～中大・平野教授インタビュー【文理融合】</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/stories/20260702_s01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 02 Jul 2026 06:50:15 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://scienceportal.jst.go.jp/?post_type=stories#038;p=57427</guid>

					<description><![CDATA[　AI（人工知能）が私たちの生活に徐々に浸透している。AI開発や利用そのものを包括的に「規制」する法律は日本にないけれども、将来、問題となる事案には何が考えられるだろうか。AIに人生を委ねることに対して、どのような危機感 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　AI（人工知能）が私たちの生活に徐々に浸透している。AI開発や利用そのものを包括的に「規制」する法律は日本にないけれども、将来、問題となる事案には何が考えられるだろうか。AIに人生を委ねることに対して、どのような危機感を持てばよいのだろうか。AIと法律の専門家で、米ニューヨーク州の弁護士資格も持つ、中央大学国際情報学部の平野晋教授に聞いた。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="563" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_01.jpg" alt="AIに関する国内外の有識者会議に参加している中央大学国際情報学部の平野晋教授" class="wp-image-57428" style="width:600px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_01.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_01-300x225.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">AIに関する国内外の有識者会議に参加している中央大学国際情報学部の平野晋教授</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">AI面接で就活生はなぜ落とされたのか</h2>



<p><strong>―政府の有識者会議などでAIに関する委員を務められています。</strong></p>



<p>　総務省のAIネットワーク化検討会議（旧：ICTインテリジェント化影響評価検討会議）のメンバーになったことを契機に、政府が主催する会議や、国を代表して経済協力開発機構（OECD）の国際会議に参加してきました。企業や消費者といった様々なステイクホルダーの方々と話す機会に恵まれ、視野が広がりました。2019年4月に中央大に国際情報学部を創設してからは、多摩キャンパスではなく、 ここ（東京）市ヶ谷田町キャンパスで学生を教えています。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="562" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_02.jpg" alt="日米の法制度の違いなど、幅広い話題でAIについて語る平野晋教授（26年4月、東京都新宿区）" class="wp-image-57429" style="width:570px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_02.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_02-300x225.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">日米の法制度の違いなど、幅広い話題でAIについて語る平野晋教授（26年4月、東京都新宿区）</figcaption></figure></div>


<p><strong>―学生とのやりとりで、AIの使われ方に危機感を持ったのですか。</strong></p>



<p>　はい。ゼミの1期生が就職活動で「AI面接を受けた」と言うのです。結果を聞くと、ご縁がなかった、という。「なぜ落ちたと思うか」と尋ねると、「分からない」「しょうがない」と答えます。もちろん、企業が落とした学生に理由を説明しないことは、分かっていました。</p>



<p>　それにしても、「なぜうちの学生は機械ごときに人生の重大事を左右されて疑問を抱かないのか」と思ったのです。そこで、少し法学論文をリサーチしたところ、先進国の米国では、採用選考をAIに委ねることに対しての批判が多いことを知った次第です。</p>



<p>　米国で批判が多い背景としては、だいぶ以前から、非常に多くの有名企業が膨大な求職者から送られてくる履歴書を、効率化のためにAIで振るい落としている慣行を挙げることができます。</p>



<p>　しかしAIは文脈を理解できないので、たとえば休職期間が半年以上の履歴書を振るい落とすように指示されていると、背景を無視して落としてしまう。たとえば結婚や出産などのために半年休職していたけれども、今では職場復帰できる環境になって、働く意欲や能力が高い女性人材が、そのような背景や事情をAIは理解できずに振るい落としてしまうことが批判されています。</p>



<p>　ほかにも、面接を動画に記録し、AIで点数をつけるという採用活動が行われ、これは科学的根拠に欠け、説明責任を果たしておらず、かつ差別的なアウトプットも生じうるとして、厳しく批判されています。</p>



<p>　さらにある企業は、面接動画をAIが評価するというサービスを提供していたところ、人権団体から米FTC（連邦取引委員会）に対して訴えを提起されました。その結果、同社がそのサービス提供を取りやめたという例もあります。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="500" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_03.jpg" alt="米国のテック関連企業の製品は世界中で使用されている。トランプ大統領は今年5月の米中首脳会談の際、ITやAIなど名だたるテック企業のトップを連れて中国に降り立った（ホワイトハウスHP写真集より）" class="wp-image-57430" style="width:600px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_03.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_03-300x200.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">米国のテック関連企業の製品は世界中で使用されている。トランプ大統領は今年5月の米中首脳会談の際、ITやAIなど名だたるテック企業のトップを連れて中国に降り立った（ホワイトハウスHP写真集より）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">日米欧の三極の間で異なるアプローチ</h2>



<p><strong>―米国はテック企業の発展などAIが進んでいるイメージがありますが、やはり問題が生じているのですね。</strong></p>



<p>　はい。日本よりAIやアルゴリズムの利用が急速に進み、かつ広範囲に普及した分だけ、様々な問題が日本より早めに顕在化しています。日本はその諸問題を「他山の石」として、より賢くAIを利用すべきであるというのが私の持論で、この考え方を研究姿勢に据えています。</p>



<p>　ところで様々な問題を内包するAIの統治（これを「AIガバナンス」といいます）について、日米欧の三極の間で異なったアプローチをとっている点は、興味深いと思います。</p>



<p>　まずEU（欧州連合）は、「AI Act」と呼ばれる「規則」を通じて加盟各国に対し直接的に規制を適用する、AIに厳しい縛りをかけています。AI Actではリスクを4段階評価し、上から「許容できないリスク（禁止AI）」「高リスク（規制対象AI）」「限定的なリスク（透明性の確保）」、および「規制なし」としています。縛りを受けないのは最下層の部分だけで、さらにこの規則には罰則も備わっているのでかなり厳しい。EUは、何か問題が起こる前から規制をかける「予防原則」の立場に立っています。</p>



<p>　他方、EUとは反対の極にいる米国は、予防原則を嫌って、「許可不要な技術革新」（“permissionless innovation”）的な立場をとってきました。特にトランプ大統領が再度政権をとってからは、その風潮が強化されています。</p>



<p>　もっとも米国は「合衆国」という統治機構をとっていて、各州政府がいまだに多くの統治権を保持している点を軽視してはなりません。たとえトランプ大統領が主導する連邦政府は予防原則を嫌っていても、将来は民主党政権が復活する蓋然性（がいぜんせい）は低くはないのです。ですから同大統領と異なる立場をとる州の動向も見過ごせません。たとえばイリノイ州のように、一定のAIを規制する州法を成立・施行させた州が存在する事実は、冷静に理解しておくべきでしょう。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="494" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_04_r.jpg" alt="AI法施行前までの三極のAIガバナンス比較（平野教授提供）" class="wp-image-57442" style="width:620px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_04_r.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_04_r-300x198.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">AI法施行前までの三極のAIガバナンス比較（平野教授提供）</figcaption></figure></div>


<h2 class="wp-block-heading">AI法は「準ハードロー」、リスクへの対応に懸念</h2>



<p><strong>―日本の法整備はどのようになったのでしょうか。</strong></p>



<p>　以前から日本はAIの研究開発や利活用を萎縮させないために、有識者会議などを通じて強制力のない「ガイドライン」や「指針」を作成・公開し、事業者らがそれを自主的に遵守することに期待するという、いわゆる「ソフトロー」による統治政策をとってきました。</p>



<p>　しかしその後、国民への世論調査では、AIについて「不安に思っている」と答える人が多いという結果が出ました。そこで2024年の夏から、AIの統治に関する法制化を視野に入れた有識者会議である、「AI制度研究会」が内閣府に設置され、私もその構成員として意見を述べてきた次第です。</p>



<p>　同研究会の第1回会合には、岸田文雄首相（当時）が臨席し、AIの「リスク対応とイノベーションの促進」の両立を目指す検討を要請されました。同研究会としては、その要請に応える立法を同年末の第6回会合の「中間とりまとめ案」にて提言しました。その会合に臨席した石破茂首相（当時）からは、城内実内閣府特命担当大臣（当時）らに対して、提言に基づく法案提出を急ぐようにとの指示があり、翌25年に法案が国会に提出され、『人工知能関連技術の研究開発及び活用の促進に関する法律（AI法）』が同年5月に成立しました。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="650" height="433" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_05.jpg" alt="AI制度研究会の初会合（2024年8月、首相官邸のHPより）" class="wp-image-57432" style="width:590px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_05.jpg 650w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_05-300x200.jpg 300w" sizes="(max-width: 650px) 100vw, 650px" /><figcaption class="wp-element-caption">AI制度研究会の初会合（2024年8月、首相官邸のHPより）</figcaption></figure></div>


<p>　AI法はいわば「準ハードロー」（編集部注：罰則などが規定され、強制力のあるハードローと、指針やルールに表されるような「決まり」といったソフトローの中間にあるという意味）であり、厳しい規制に対して謙抑的な立場をとった法律になっています。その理由の一つは、厳し過ぎる規制はAIの研究開発・利活用を萎縮させてしまい、「リスク対応とイノベーションの促進の両立」という目的に反する懸念が出てきたからです。加えて、AIを標的として厳しく規制する立法案を起案するためには、立法が必要な社会的前提事実（立法事実）が必要なところ、AIが生じさせるかもしれないリスクはまだまだ顕在化していないからでした。</p>



<p>　つまり現段階では厳しい規制立法案を起案することが現実的に難しい点が指摘されました。さらに、そもそもAIのリスクに対して現行法による対応がまだ十分行われていない点も懸念され、まずは現行法を適用・執行して国民の不安を払拭すると共に、その結果として現行法が不十分である事実（法の欠缺＝けんけつ、編集部注：ある事柄に適用される法が存在しないこと）が発見されれば、その時こそ規制立法に必要な立法事実が明らかになる、とAI制度研究会で指摘されました。</p>



<p>　AI法も同研究会の議論を反映して、まずは現行法規やガイドラインなどの適用・執行を中心とする立場をとることになったのです。さらに同法には罰則がなく、国がとれる措置はたとえば調査、対策の検討、指導などとされ、それらは規制法ではない、と同法案の提出者である政府は国会で答弁しています。AIの活用事業者には、政府などの施策に協力する責務が課されていますが、その責務は努力義務である、と政府は国会で答弁しています。</p>



<h2 class="wp-block-heading">現行法だけで不十分なら、規制法成立はありうる</h2>



<p><strong>―日本での立法の傾向について具体的に教えてください。</strong></p>



<p>　AI法案の国会審議においては、努力義務や協力責務だけでは不十分ではないか、といった批判がありました。しかし前述したように、現実問題として具体的にまだ生じていない問題の〈おそれ〉に対して、罰を課す前提となる要件を規定することは困難です。むしろ、現行法をきちっと執行することこそが喫緊の課題であって、これによりありうる「法の欠缺」を発見できます。</p>



<p>　また同法で新たに設立された、首相がトップとなって全大臣が構成員となる「人工知能戦略本部」も、AIの諸問題に対する現行法の執行を後押しする仕組みになっています。つまり、AIが引き起こす諸問題については首相がトップとなる同本部が司令塔になれますので、たとえば各省庁が主管する現行法違反のおそれについて、同本部から当該省庁に対する法執行の後押しが可能なのです。</p>



<p>　加えて、同法が国に付与したAIに関する調査機能を用いれば、たとえば将来生じるかもしれない、AIの能力がヒトを超えて人類に対する脅威になるかもしれないというような、「汎用AI」や「強いAI」や「シンギュラリティー」の出現に備えて、現時点からAIの研究開発の動向・進捗を政府が把握して、万が一の事態に備えることが可能です。</p>



<p>　そもそも日本では、立法事実を欠くような厳しい規制立法をいきなり制定することを嫌う傾向が見受けられます。たとえば男女雇用機会均等法は、改正前の当初は規制法ではありませんでした。しかしそれが、時代の進化に伴う社会の変化に応じて規制法として改正されています。AI法も、まずは規制法の前段階としてソフトロー的な制定法というスタイルをとりました。</p>



<p>　しかし今後、時代が進んでAI技術と活用が進化し広範囲に普及するにつれて諸問題が顕在化し、現行法規やガイドラインの適用だけでは不十分であることが明らかになった段階で、たとえば具体的なリスクに応じた事業法の改正といった形式をとる規制法が成立することはありうると思います。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="511" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_06_r.jpg" alt="日本型AIガバナンスの過去・現在・未来（平野教授提供）" class="wp-image-57443" style="width:620px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_06_r.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260702_s01_06_r-300x204.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">日本型AIガバナンスの過去・現在・未来（平野教授提供）</figcaption></figure></div>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>1個のゴーヤーが農業を壊す セグロウリミバエという新たな侵略者（宮竹貴久／岡山大学教授）</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/stories/20260701_s01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 01 Jul 2026 07:06:04 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　沖縄旅行の帰りに、ゴーヤーやパパイヤを「お土産に」と持ち帰る。そんな何気ない行動が、日本の農業を揺るがす引き金になるかもしれない。いま沖縄では、新たな特殊害虫セグロウリミバエが広がっている。ゴーヤーなどのウリ類、ナス類 [&#8230;]]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[
<p>　沖縄旅行の帰りに、ゴーヤーやパパイヤを「お土産に」と持ち帰る。そんな何気ない行動が、日本の農業を揺るがす引き金になるかもしれない。いま沖縄では、新たな特殊害虫セグロウリミバエが広がっている。ゴーヤーなどのウリ類、ナス類、パパイヤなどは、このミバエが寄生していないことを国が確認しなければ、沖縄の外へ持ち出すことができない。理由は単純だ。もし寄生した果実が本土に持ち込まれ、この害虫が定着すれば、果菜類や果樹に甚大な被害が及ぶおそれがあるからである。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="522" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_01.jpg" alt="セグロウリミバエまん延防止のために沖縄県の一部地域から植物を持ち出さないよう呼びかけるポスター（農林水産省・植物防疫所のサイトより）" class="wp-image-57420" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_01.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_01-300x209.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">セグロウリミバエまん延防止のために沖縄県の一部地域から植物を持ち出さないよう呼びかけるポスター（農林水産省・植物防疫所のサイトより）</figcaption></figure></div>


<p>　私はかつて琉球大学で学び、沖縄県職員として害虫防除の現場にも立った。そこで見たのは、体長1センチにも満たない小さな昆虫が、島の農業と経済を左右する現実だった。だからこそ、いま沖縄で起きていることを、遠い南の島の出来事として見過ごしてはならないと思っている。</p>



<h2 class="wp-block-heading">沖縄で見た「特殊害虫との戦い」</h2>



<p>　1980年3月、私は琉球大学農学部を受験するため、伊丹から那覇へ向かう飛行機に乗っていた。機内で読んだのが、故・伊藤嘉昭氏の著書『虫を放して虫を滅ぼす』である。そこには、沖縄で進められていたウリミバエ根絶事業が描かれていた。当時の沖縄では、果実を食い荒らすミバエ類が広く発生し、県外へのウリ類、ナス類、熱帯果樹の持ち出しは厳しく制限されていた。空港では植物防疫官が荷物を検査し、知らずに持ち出そうとした果実は没収された。</p>



<p>　ミバエ類は果実に卵を産みつける。ふ化した幼虫（ウジ虫）は果実の内部を食い進み、中身をぐちゃぐちゃにしてしまう。見た目は無事でも、中にはウジ虫がいる。商品価値は失われ、農家にとっては深刻な被害となる。こうした害虫は、海外から侵入し、日本の農業に重大な被害を与える「特殊害虫」と呼ばれる。</p>



<p>　大学院時代、私は那覇市に新設されたウリミバエ大量増殖施設、いわゆる「ハエ工場」を見学した。そこで聞かされたのは、毎週1億匹のウリミバエを増殖し、放射線で不妊化したうえで、ヘリコプターから空へ放つという計画だった。1億匹のハエを増やし、そのハエでハエを滅ぼす。あまりに壮大で、強い衝撃を受けた。そのときは、後に自分がその現場に深く関わることになるとは思ってもいなかった。</p>



<p>　大学院修了後、私は沖縄県職員となり、農業改良普及所に配属された。農家を回って技術指導をしながら、沖縄本島に仕掛けたミバエトラップの調査や、被害果実の確認にも参加した。ウリ科やナス科、熱帯果樹の果実の中を、幼虫が食い進み、はい回る。もしこんな害虫が日本中に広がったらどうなるのか。現場で見たその光景は、いまも忘れられない。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="522" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_02.jpg" alt="「ハエ工場」の様子。大量増殖飼育ケージ（左上）、交尾行動観察用カップ（右上）、吸引機を使うウリミバエの麻酔作業（左下）、麻酔後にアイスノンの上に置かれたウリミバエ（岡山大学の宮竹貴久教授提供）" class="wp-image-57421" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_02.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_02-300x209.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">「ハエ工場」の様子。大量増殖飼育ケージ（左上）、交尾行動観察用カップ（右上）、吸引機を使うウリミバエの麻酔作業（左下）、麻酔後にアイスノンの上に置かれたウリミバエ（岡山大学の宮竹貴久教授提供）</figcaption></figure></div>


<p>　1972年に始まったウリミバエ根絶事業は、不妊虫放飼法によって93年に成功し、日本からウリミバエは根絶された。だが令和になって、新たにセグロウリミバエが侵入し、あのとき抱いた危機感が現実のものになろうとしている。</p>



<h2 class="wp-block-heading">南西諸島を苦しめてきた「侵略者」たち</h2>



<p>　これまで南西諸島では、いくつもの特殊害虫との長い戦いが続いてきた。代表例の一つがミカンコミバエである。かんきつ類やマンゴーなどを食害するこのミバエには、オスだけを非常に強く誘引する薬剤がある。これを散布してオスを徹底的に減らして、オスの数をゼロにすることができる。すると野外のメスは交尾相手がいなくなり、子を残せなくなり根絶する。「オス除去法」と呼ばれるこの手法により、1986年に南西諸島からの根絶に成功した。</p>



<p>　もう一つがウリミバエである。こちらにはミカンコミバエのように野外のオスをゼロにするほど強力な誘引剤がなかったため、「不妊化法」が使われた。害虫を大量に増やし、放射線で不妊化して野外へ放つ。野外のメスが不妊のオスと交尾すれば、次世代は生まれない。こうして個体群の密度を徐々に低下させていく方法である。</p>



<p>　那覇市の「ハエ工場」では、毎週1億匹ものウリミバエが不妊化され、空から放たれた。1987年に放飼が始まり、奄美群島、宮古群島、沖縄群島、八重山群島へと事業が進み、93年に南西諸島全域からウリミバエが根絶された。私は90年から沖縄県農業試験場ミバエ研究室に配属され、この根絶作戦に加わった。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="502" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_03.jpg" alt="1993年に波照間島でのミバエ調査に訪れた宮竹貴久・岡山大学教授（本人提供）" class="wp-image-57422" style="width:600px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_03.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_03-300x201.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">1993年に波照間島でのミバエ調査に訪れた宮竹貴久・岡山大学教授（本人提供）</figcaption></figure></div>


<p>　さらに、サツマイモの大害虫アリモドキゾウムシとイモゾウムシも特殊害虫であり、アリモドキゾウムシはフェロモンによる「オス除去法」、餌となるヒルガオ科植物を除去する「寄主除去法」および「不妊化法」を組み合わせて2013年に久米島での根絶を達成した。一方、1940年代後半以降に南西諸島に侵入したイモゾウムシについては、いまだ根絶させる技術が確立されていない。したがって、生のサツマイモを含むヒルガオ科の植物は、本土への持ち出しがいまも禁止されたままだ。</p>



<p>　特殊害虫が発生した地域では、植物防疫法に基づき、害虫そのものや寄主植物の移動が厳しく規制される。自治体は国の補助を受けながら、根絶防除事業を進めている。特殊害虫対策は、単なる農業技術の問題ではない。国の農業を守る植物防疫そのものであり、生物安全保障として日本政府の課題のひとつである。</p>



<h2 class="wp-block-heading">新たな脅威――セグロウリミバエ</h2>



<p>　セグロウリミバエが沖縄本島の名護市で初めて確認されたのは2024年3月だった。このハエは、ウリ類やナス類、パパイヤなど熱帯果実などの果実内部に産卵する。幼虫は果実の中を食い荒らし、農業に深刻な経済被害をもたらす。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="303" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_04.jpg" alt="セグロウリミバエの成虫（左）と幼虫による果実（へちま）への食害（農林水産省・植物防疫所のサイトより）" class="wp-image-57423" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_04.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_04-300x121.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">セグロウリミバエの成虫（左）と幼虫による果実（へちま）への食害（農林水産省・植物防疫所のサイトより）</figcaption></figure></div>


<p>　東南アジアでは普通に生息しており、今回の発生は海外から持ち込まれた可能性もあるとみられている。問題は、その後だった。侵入したセグロウリミバエは、わずか数カ月で沖縄本島各地へ急速に拡散した。2024年冬には中北部まで広がり、25年4月、国は「緊急防除」の発動を決定した。これは極めて重い措置だ。簡単に言えば、沖縄本島で栽培されたウリ類・ナス類・熱帯果樹の一部は、国の検査を受けなければ島外へ持ち出せなくなったのである。</p>



<p>　もし寄生した果実が本土へ持ち込まれ、九州以北で定着すれば、日本の果菜農家は大打撃を受ける。さらに、日本は他国から、このミバエが発生している国とレッテルが貼られる。そうなると、このハエが普通に生息する国々から、消毒なしで安価な果実が輸入される。つまり日本は「セグロウリミバエ発生国」とみなされ、国際的な植物防疫上の信用も失いかねない。だからこそ、侵入初期の“初動防除”が極めて重要だった。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="512" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_05.jpg" alt="野菜やくだものの移動制限を説明した直売所などに向けた農林水産省のチラシ（沖縄県のセグロウリミバエのまん延防止対策サイトより）" class="wp-image-57424" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_05.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260701_s01_05-300x205.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">野菜やくだものの移動制限を説明した直売所などに向けた農林水産省のチラシ（沖縄県のセグロウリミバエのまん延防止対策サイトより）</figcaption></figure></div>


<p>　ウリミバエの近縁種であるセグロウリミバエを本気で根絶しようとすれば、切り札は不妊虫放飼法しかない。だが、それを始めるには時間がかかる。野外から虫を集め、大量飼育の方法を確立し、不妊化して放飼する体制を整えなければならないからだ。近縁種だから同じように飼えるだろう、というほど簡単ではない。実際、那覇の「ハエ工場」でセグロウリミバエの生産体制を整えるまでには1年以上を要した。</p>



<p>　つまり、不妊虫放飼法がまだ使えない侵入初期には、決定打がほとんどなかったのである。もちろん、何もしなかったわけではない。寄生果実の廃棄、被害調査、農薬散布、タンパク誘引剤への殺虫剤添加、さらにオスを誘引するキュールア剤の散布など、使える手段は総動員された。しかし、キュールア剤はもともとウリミバエに有効な誘引剤であり、別種であるセグロウリミバエに対して決定的な武器ではない。実際、分布拡大を止めることはできなかった。</p>



<p>　2025年夏には那覇市を含む南部でも多数確認され、沖縄本島全域と周辺離島へ拡大した。さらに奄美群島にも侵入し、与論島、沖永良部島、徳之島では蔓延に近い状況となっている。26年4月までに、奄美以南の鹿児島県内のトラップで確認された個体数は千匹以上に達した。</p>



<p>　不妊化されたミバエは沖縄本島北部離島で一定の密度抑圧効果を示し始めているが、那覇の「ハエ工場」だけでは奄美群島まで十分に対応する余力がない。国は奄美大島の旧施設改修の予算を獲得したが、現地で本格的に不妊虫を増産できるのは早くても2027年以降と見込まれている。それまでの間、鹿児島県は十分な武器を持たないまま、まん延を食い止めなければならない。</p>



<h2 class="wp-block-heading">日本の農業全体に火の粉が飛ぶ恐れも</h2>



<p>　問題は、セグロウリミバエだけではない。全国の港や空港では、植物防疫官が24時間体制で外来害虫の侵入監視を続けている。しかし現実には、日本のどこで新たな特殊害虫が見つかってもおかしくない状況が続いている。侵入ルートは複数ある。ミカンコミバエのように飛翔力の高い種は、偏西風に乗って南西諸島や九州へ飛来する。近年は九州以南で、ほぼ毎年のようにミカンコミバエの発生が確認されている。その都度、現場では懸命な駆逐作業が続けられ、定着を許していない。</p>



<p>　またゾウムシ類では、人の移動や持ち込みによる発生も繰り返されてきた。アリモドキゾウムシは、種子島を含む鹿児島県、高知県、静岡県などで見つかってきた。イモゾウムシも鹿児島県で見つかった事例がある。だが、そのたびに現場の懸命な初動防除で根絶されてきた。寄主植物であるヒルガオ科の植物を侵入地域から、すべて駆除するという徹底的な初動防除を行ったのである。</p>



<p>　だが、沖縄本島から奄美群島にまで分布を広げたセグロウリミバエはすでに初動防除に失敗している。そしていま南西諸島では封じ込めにも苦労している。だからこそ怖い。九州以北で絶対に発生しないとは、もはや言えないのだ。もし、この緊急事態を知らない誰かが、沖縄旅行の帰りにゴーヤーを1個持ち帰ったとする。その中にセグロウリミバエが潜んでいたらどうなるか。</p>



<p>　これは遠い南の島の害虫問題では済まない。日本の農業全体に火の粉が飛ぶ危険性がある。たった1個の果実が、何十年もかけて築いてきた防疫の努力を崩すかもしれない。だからこそ、沖縄から野菜や果物を安易に持ち出してはならない。この危機を、いま国民全体が知っておく必要がある。</p>
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		<title>スコティッシュ・フォールドに「隠れ折れ耳」が存在 麻布大</title>
		<link>https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20260630_n01/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[Science Portal]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 30 Jun 2026 06:06:55 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[　ペットとして飼われるネコ「スコティッシュ・フォールド」は、生後数週間で耳が折れても、成長するにつれて立ち耳になる個体が存在し、こうした個体が折れ耳の個体と同じTRPV4遺伝子変異を持つことを、麻布大学などの研究グループ [&#8230;]]]></description>
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<p>　ペットとして飼われるネコ「スコティッシュ・フォールド」は、生後数週間で耳が折れても、成長するにつれて立ち耳になる個体が存在し、こうした個体が折れ耳の個体と同じTRPV4遺伝子変異を持つことを、麻布大学などの研究グループが確認した。古くから折れ耳の個体は遺伝子に変異があり、折れ耳同士の交配は避けた方が良いとされている。「隠れ折れ耳」ともいえる個体の存在を認識し、どのように取り扱うべきか。動物愛護の観点から、遺伝子検査を勧めるなど、より良い繁殖管理環境を作りたいという。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="179" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_01.jpg" alt="耳の形に関する研究に参加したスコティッシュ・フォールド（アニコム損害保険提供）" class="wp-image-57414" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_01.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_01-300x72.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">耳の形に関する研究に参加したスコティッシュ・フォールド（アニコム損害保険提供）</figcaption></figure></div>


<p>　麻布大学データサイエンスセンターの松本悠貴特任准教授（動物遺伝学）とアニコム先進医療研究所などの研究グループは、様々なネコの遺伝子から、病気のなりやすさなどを調べてきた。今回、ペットとして広く飼われているスコティッシュ・フォールドについて、その特徴である折れ耳と遺伝子の関係を調べることにした。</p>



<p>　古い文献では、スコティッシュ・フォールドの耳が折れていると、骨瘤などが生じる骨軟骨異形成症の重症リスクが高い個体が生まれる可能性があるため、折れ耳同士の交配は避けた方が良いとされていた。遺伝子研究が進み、この折れ耳は「TRPV4遺伝子」という遺伝子の変異によって引き起こされることが明らかになった。TRPV4遺伝子は、細胞内外のカルシウムを調整する役割を持ち、ネコの耳や関節の軟骨の発達に関与している。</p>



<p>　だが、松本特任准教授がネコの獣医師やブリーダーに尋ねたところ、「外見は立ち耳でも、折れ耳の遺伝子を持つ個体がいる」「途中で耳の形が変わる個体がいる」と聞き、詳しく調べることにした。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full is-resized"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="479" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_02.jpg" alt="耳の形が成長に伴って変化したスコティッシュ・フォールド（アニコム損害保険提供）" class="wp-image-57415" style="width:510px" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_02.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_02-300x192.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">耳の形が成長に伴って変化したスコティッシュ・フォールド（アニコム損害保険提供）</figcaption></figure></div>


<p>　ペット保険を取り扱っているアニコム損害保険の契約者である飼い主に協力してもらい、114頭のスコティッシュ・フォールドについて、口腔内のDNAをぬぐって検査した。114頭の「顔写真」も提出してもらい、耳の形状を記録した。114頭の内訳は、オス63、メス51。</p>



<p>　その結果、TRPV4変異の遺伝子を片方の親からのみ受け継いだ個体（ヘテロ接合体）が55頭おり、その中でも7頭は子猫のときに折れ耳だったが、成長するにつれて立ち耳になっていることが判明した。松本特任准教授はこれらを「隠れ折れ耳」と名付けた。隠れ折れ耳群は、変異をもたない立ち耳のスコティッシュ・フォールドよりも耳介が小さかった。耳介が小さいこと自体になんらかの病的な影響が生じる可能性は低いと考えられるものの、現時点ではその影響は明らかでないため、今後調べていく必要があるという。</p>



<p>　そして、今回同時に行ったアンケートには「冬は折れ耳だが、夏になると立ち耳になる」という記載も。気温が関係している可能性もあり、今後の研究につなげたいとしている。</p>



<p>　なお、折れ耳同士の交配では、重度の骨軟骨異形成症になるおそれがある、TRPV4変異を2つ持つ個体（ホモ接合体）が生まれる可能性が高まる。骨軟骨異形成症は、ネコの骨や軟骨の発生異常により、関節変形や骨瘤などが生じ、痛みや歩行障害を引き起こす進行性の病気だ。ひどくなると歩行が不自由になったり、ジャンプできなくなったりする。</p>



<p>　さらに、個体によっては、関節の可動域が狭くなったり、痛みが伴うことで『スコ座り』という後ろ足を前に伸ばしてお尻で座る、人間が床に座るような姿勢がみられたりすることもある。スコ座りは「人がくつろいでいるようでかわいい」とSNSでもてはやされることもあるが、これはネコにとっては苦痛を感じている印でもある。</p>



<p>　松本特任准教授によると、イヌに比べ、ネコは動物病院で治療を受ける頻度が低く、データ集めに難航したという。「海外では、折れ耳のネコの繁殖を制限している国・地域があり、近年は飼育や売買まで規制対象とする動きもみられる。日本ではそのような取り決めはないが、今後、より多くのデータを調べて、ヘテロ接合体での骨軟骨異形成症のリスクを明らかにしていきたい」としている。</p>


<div class="wp-block-image">
<figure class="aligncenter size-full"><img loading="lazy" decoding="async" width="750" height="398" src="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_03.jpg" alt="一連の研究を図にしたもの。骨軟骨異形成症のリスクは、スコティッシュ・フォールド以外の種類でも見られた（アニコム パフェ社提供）" class="wp-image-57416" srcset="https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_03.jpg 750w, https://scienceportal.jst.go.jp/wp-content/uploads/20260630_n01_03-300x159.jpg 300w" sizes="(max-width: 750px) 100vw, 750px" /><figcaption class="wp-element-caption">一連の研究を図にしたもの。骨軟骨異形成症のリスクは、スコティッシュ・フォールド以外の種類でも見られた（アニコム パフェ社提供）</figcaption></figure></div>


<p>　近年、スコティッシュ・フォールドと、別の種類のネコであるアメリカン・カール、マンチカン、ミヌエットでもTRPV4遺伝子変異をもつ個体もあり、松本特任准教授は「遺伝子検査は昔より受けやすくなっている。繁殖を予定しているネコの耳の形に違和感を持ったら、遺伝子検査を受けることも検討した方が良いのではないか」と話した。</p>



<p>　研究はアニコム先進医療研究所の助成を受けて行われた。成果は5月6日、米国の学術誌「アニマル ジェネティクス」に掲載され、麻布大学が6月1日に発表した。</p>
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