日本学術会議は18日開いた緊急集会の議論を基に、過去の大災害で効果が実証されている「被災地への対向支援方式の導入」を進めるべきだ、などとする緊急報告をまとめ、公表した。
「被災地への対向支援方式」は、政府が主導して、特定の被災地の市町村を被災地以外の特定の市町村が支援する取り組むことを指す。今回の地震被害のように被災地が広範囲にわたる場合に効果的な対策として、2008年の中国四川省大地震の際に大きな成果を挙げたと言われている。18日の緊急集会で同じように重要と確認された「福島第一原子力発電所の事態解決のために各省、各政府機関、研究機関、民間、専門家の能力が一元的に機能する体制の構築が必要」という提言と併せ、18日のうちに内閣官房に具体的提言として届けられた。
中国四川省大地震で中国政府が取り組んだ被災地への「対向支援」(原語では「対口支援」。口は人の意味)に協力し、実際に200カ所以上の農村復興に貢献した石川幹子・東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授によると、中国では地震の後、山東省と北川県、上海と都江堰市など東部と中部の19の省と市が、被災地とペアを組み支援を行った。支援は3年の期限を区切り、全国の力を活かして地震被害地域の復興再建を促進する取り組みが成果を挙げている。石川教授は「ペアリング支援」と呼んでいる。
日本学術会議は、これら二つの提言に加え、「環境放射能の評価システムを用いた正確な測定結果を含む情報を適切に公開し、安易な楽観視や過剰な危惧を抑制、特に風評被害が起こらないように十分配慮する」ことを直ちに実行するよう求めた。
さらに、さまざまな平時の規制によって食料、薬剤、ガソリンなど必要物資の運搬が行えなかったと伝えられている現状に対して「緊急対応のための特別措置をさまざまな場面で講じるよう」強く要望している。