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格納容器冠水あきらめ汚染水の再利用冷却へ

2011.05.18

 東京電力は17日、福島第一原子力発電所事故を収束させる工程表を見直した。格納容器を水で満たし、炉心を圧力容器ごと冷却する「冠水(水棺)」対策を事実上あきらめ、原子炉建屋などにたまっている放射能汚染水を処理して、原子炉の冷却に再使用する「循環注水冷却」を優先する、としている。

 6-9カ月後(10月-来年1月)に放射性物質の放出を管理し、放射線量が大幅に抑えるとした収束目標については、期限の変更はない、とした。

 また、余震対策と環境改善に関する新たな3課題を示した。余震や津波に備え、「非常用電源の高台などへの移設」「原子炉への注水ラインの多重化」などに加え、仮設防潮堤の設置を新たに挙げている。4号機の燃料プールに支持構造物を取り付けることに加え、各号機の補強工事を行うことも示している。

 劣悪な状況が指摘されている作業員の環境改善については、追加策を進めるとしている。

 政府の原子力災害対策本部は東京電力の発表を受けて同日、政府としての取り組み方針と工程表をまとめ、公表した。この中で、5月下旬までに実施する計画的避難に続き、避難先などにおける事業活動支援を実施するとしているが、避難区域解除の具体的検討・実施については中期的課題に挙げただけで解除の目標時期は明示していない。

 国際的な関心も深いとみられる地域住民の長期的な健康管理については、10月-来年1月の間に実施方法の具体的な検討を行うとしている。

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