東京電力は15日、初めて福島第一原子力発電所1号機の炉心状態について解析結果を発表、地震発生の16時間後に燃料の大部分は溶融して圧力容器底部に落下していたことを明らかにした。
解析は、地震発生(3月11日午後2時46分)と同時に原子炉は停止したが、約45分後の津波到達により非常用復水系の機能が喪失した、との仮定に基づいて行われた。解析結果によると、地震発生から4時間半後の午後7時半ごろには、圧力容器内の水位は燃料の最下部以下まで下がり、燃料は完全に露出した。水位が燃料の最上部より下になった午後6時ごろから燃料の温度は上昇し始めて急速に燃料が溶ける温度に達し、地震発生の16時間後、3月12日午前6時50分ごろには、大部分の燃料が原子炉圧力容器底部に落下した、という。
解析結果では、燃料溶融によって圧力容器も損傷しているという結果になった。圧力容器から冷却水が漏出していることも明らかだが、圧力容器周りの温度測定値などから、損傷は限定的だ、と東京電力は言っている。
圧力容器底部に落下した燃料の大半は現在、水中にあるが、一部は水面上に露出しているとみられる。ただし、圧力容器の温度がセ氏100度から120度で落ち着いていることから、炉心は安定的に冷却されているとしている。
政府・東電統合対策室事務局長の細野豪志・首相補佐官は15日午前、NHKの報道番組で「1号機よりむしろ圧力容器の温度が下がっていない3号機の方が心配だ」と語っている。東京電力は、2、3号機についても今後1号機と同様の解析を行うと言っている。
福島第一原子力発電所の炉心状態については、既にスティーブン・チュー米エネルギー長官が「間違いなくメルトダウン(炉心溶融)が起きている」とニューヨーク・タイムズ紙に語っていたことを、4月5日に日本記者クラブで講演した飯田 哲也 氏 NPO法人環境エネルギー政策研究所長が紹介している(2011年4月15日ハイライト・飯田 哲也 氏「原発縮小と低炭素社会戦略を」参照)。しかし、東京電力は、1号機の燃料の約55%が損傷していることは認めていた(4月27日発表)ものの、炉心の詳しい状態は明らかにしていなかった。