日本学術会議など主要13カ国のアカデミーが、7月8日からイタリア・ラクイラで開催されるG8サミット(主要8カ国首脳会議)に向け、「気候変動と低炭素社会に向けたエネルギー技術への転換」を促す共同声明をまとめた。金澤一郎・日本学術会議会長が11日、麻生首相に声明を手渡したのをはじめ、13カ国で一斉に声明が公表された。
声明は、温室効果ガスの排出による気候変動が予測されていたより速い速度で進行していることを指摘し、気温上昇を2℃ 以内に抑えるために、現在利用可能な低炭素技術のすべてを世界中で速やかに導入する必要があることを強調している。
既に始まっている気候変動への適応策として、水害対策、食糧増産、水資源保全にかかわる研究強化と途上国への技術移転、資金供給を増やす必要のほか、低炭素、気候変動に対して柔軟なインフラと技術の導入、クリーンなグリーンテクノロジーの導入を促進する経済的、規制的誘導策について国際協力を提言している。
具体的な方策としては、二酸化炭素(CO2)の 回収・貯留(CCS)の開発と標準規格の確立、安全な原子力発電、放射性廃棄物の廃棄と核拡散のリスク低減に関する国際協力の推進も盛り込まれている。
さらにこれらを進めるには教育と人々の意識向上の取り組みが必須であることと、若い世代が現在、取り組み始めた活動を育む必要を最後に提言しているのが目を引く。
共同声明を出したのは、G8サミット各国とブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの5カ国、13のアカデミー。