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気候変動に対する「賢い適応」提言

2008.06.19

 気候変動の影響について詳細な検討結果と、効果的で効率的な「賢い適応」を提言した報告書を環境省の研究委員会がまとめ、公表した。

 報告書は、地球温暖化影響・適応研究委員会によるもので、座長の三村信男・茨城大学教授を座長とする43人の専門家が8カ月間かけて検討した。

 温暖化が生じているのは疑いないという前提に立ち、日本と途上国における影響と適応について科学的に検討、その上で効果的、効率的な適応策まで踏み込んで提示しているのが特徴だ。適応策としては、多様な適応策を組み合わせ、防災対策などの既存の政策に適切に組み込み、さらに自然や社会経済のシステムをより柔軟で対応力に富むものとするという「賢い適応」を提言している。

 2020〜30年という比較的近い将来を見据え、以下のような適応策を例示している。

  • 「食料分野」
    遅植えなどコメの高温回避策、高温耐性品種の開発、導入。水産物養殖適地の移動など。
  • 「水環境・水資源分野」
    雪ダムによる融雪流出の調整、積雪貯留期間を長期化するための常緑樹の植林、海水の淡水化、水源涵養域の森林保全と深層地下水の保全など。
  • 「自然生態系分野」
    人工林の自然林化 淡水生態系栄養塩など環境負荷物質の削減など。<
  • 「防災・沿岸大都市分野」
    遊水池などの整備、危険区域(浸水予想区域)内の住居などの移転あるいは移転支援、浸水想定区域、避難地、避難経路を図示した防災地図の作成と住民への配布、ある程度の浸水・越流を許容した上で浸水被害を最小限とするための排水ポンプの整備など。
  • 「健康分野」
    熱波警報システムの整備・活用促進の検討・実施、ヒートアイランドを防ぎ、CO2消費の少ない熱対策を含んだ都市計画など。
  • 「国民生活・都市生活分野」
    個人住宅の雨水浸透ますの設置、浸水被害を最小限にとどめる家づくり(高床式化、地盤のかさ上げなど)、雨水の利用(雨水貯留、雨水浸透など)による渇水対策、サマータイム制導入など。
  • 「途上国分野」
    穀物銀行の設置、水資源・洪水・干ばつ管理システムの開発、塩類化土壌の改善・再耕作、衛生設備の改善など。

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