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新型ウイルス対応でインフルエンザ研究拡大

2009.06.09

 科学技術振興機構は8日、新型インフルエンザに対応し、2つの既存インフルエンザ研究プロジェクトを拡大、3-5年間で総額6億8,000万円の研究費を追加支給することを決めた。

 河岡 義裕・東京大学医科学研究所教授を研究総括とするプロジェクトは、現在、インフルエンザウイルスに感染した際、宿主がどのような応答を示すかを研究しているが、研究対象に新型インフルエンザを加える。ワクチンや治療薬開発に重要なデータを得ることが期待される。また、新型インフルエンザウイルスがヒトとヒトとの感染を繰り返す中で高い病原性を獲得する可能性を想定し、遺伝子再集合と変異のメカニズムの研究を進める。

 今回のメキシコで発生した新型インフルエンザウイルスは、遺伝子解析からヒト由来・ブタ由来・トリ由来の4種類のインフルエンザウイルスの遺伝子が再集合してできたことが分かっている。河岡教授らのプロジェクトには今後5年間で5億4,000万円の研究費が追加支給される。

 喜田 宏・北海道大学大学院獣医学研究科教授、人獣共通感染症リサーチセンター長を研究代表者とする研究プロジェクトに対しては、現在研究中のインフルエンザウイルスの対象を拡大し、次期新型インフルエンザウイルスが出現した際に治療薬などの開発に活用できるモノクローナル抗体の提供を可能にする「抗体ライブラリー」の構築を目指す。

 北海道大学には、現在、新型インフルエンザウイルスと同じA型の亜種144株が保管されている。喜田教授らのプロジェクトに対しては今後3年間で1億4,000万円の研究費が追加支給される。

 厚生労働省によると、8日福岡市で4人の小中学生が新たに患者と確認されるなど患者の累計は436人となった。同日11時現在の集計では、このうち372人が治癒している。

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