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津波に強い地域づくり技術チリと共同研究へ

2011.04.21

 科学技術振興機構は20日、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムの新しい課題として、資源・エネルギー分野5件、生物資源分野2件、防災分野2件、感染症分野2件を決めた。

 防災分野の新課題に、チリ・カトリック教皇大学との共同研究「津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究」(研究代表者・富田 孝史・港湾空港技術研究所 上席研究官)が選ばれた。研究期間は4年間。

 チリは日本の太平洋岸と同様、海底プレートが陸側のプレートの下に沈み込む場所に面しているため、過去に何度も大きな地震が起きていることで知られる。昨年2月にもマグニチュード(M)8.8の巨大地震が発生し、沿岸に巨大な津波が押し寄せ800人以上が亡くなった。日本にも翌日、場所によっては1メートルを超す津波が到達している。1960年には観測された地震としては最大の超巨大地震(M9.5、死者1,742人)が起きている。この時も最大6メートルの津波が日本に到達し、三陸海岸沿岸を中心に142人が亡くなった。

 共同研究では、両国で発生した津波による被害のまとめとその推定手法や、今後両国で発生する津波による被害予測や想定被害への対策、高い精度の早期警報手法や津波観測網など津波に強い地域や人づくりに関する研究を行う。

 研究代表者の富田 孝史 氏は、土木学会東日本大震災特別委員会総合調査団の一員として、今月初め東北地方太平洋沖地震の被災地を訪れ、釜石湾口防波堤など港湾施設や海岸の津波による被害の状況を調査している。

 地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムは、開発途上国の研究機関と国内の研究機関が共同で両国にとって必要な地球規模の課題解決を目指す研究支援制度。政府開発援助(ODA)と連携して実行するのが特徴で、開発途上国だけでなく先進国からもユニークな取り組みとして注目されている。研究開発期間は3-5年。1研究課題に対し、科学技術振興機構から間接経費を含め年3,800万円程度のほか、国際協力機構のODA経費から研究員派遣、外国人研究員招へい、機材供与、現地での活動経費など年に6,000万円程度が支給される。

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