文部科学省は21日、福島第一原子力発電所から半径20キロ以内の区域における放射線量測定結果を初めて原子力安全委員会に報告した。
それによると原発から北西方向にあたる地域で高い放射線量が測定された。18日、浪江町昼曽根(北西方向約20キロ)で1時間あたり31.5マイクロシーベルト(1マイクロは千分の1ミリ)、浪江町室原(同16キロ)で同22.0マイクロシーベルトだったのに対し、同程度の距離で北ないし北北西方向に位置する南相馬市の11の測定個所では1時間当たり0.4-6.5マイクロシーベルト、西方向にある田村市の4つの測定個所(16-20キロ)では同0.80-1.15マイクロシーベルトだった。
南南西と南方向に位置する楢葉町でも、福島第一原発から16-19キロの範囲にある10の測定個所で1時間当たりの放射線量は0.78-2.1マイクロシーベルトだった。
政府の原子力災害対策本部は福島第一原子力発電所から半径20キロ以内を従来の避難地域よりさらに強制力の強い「警戒区域」に変更し、22日午前0時から区域への立ち入りを禁止する措置をとる一方、この地域の住民に1世帯1人、時間は2時間程度という厳しい条件の下でバスを用いた一時帰宅を順次、実施する計画を明らかにしている。避難地域を指定した際には、その場所にとどまり続けると年間の放射線被ばく量が20ミリシーベルトに達すると推定される地域という考え方に基づいていた。
また1時間あたり3.8マイクロシーベルトの放射線量が測定された場所では、屋外に8時間いると想定すると年間の被ばく線量が20ミリシーベルトになるという計算を基に、小中学校や幼稚園、保育園で1時間あたり3.8マイクロシーベルトが測定された場合、校庭や園庭での活動を制限する措置がとられている。
今回、文部科学省が測定した個所は、福島第一原発からわずか1キロしか離れていない地点から20キロ離れた地点まで128個所に及ぶが、18-19日の測定結果で最高値を示したのは、大熊町夫沢(原発から西約3キロ)の1時間あたり110マイクロシーベルトだった。校庭や園庭での活動を制限する措置を決めた際の計算式(1時間当たり3.8マイクロシーベルトで年に20ミリシーベルト)を当てはめると、この地点に住み続けた場合の年間の被ばく線量は、約580ミリシーベルトになるとみられる。
また、1時間あたりの放射線量が3.8マイクロシーベルト以上だった個所は、128の測定個所中70個所(約55%)となっている。