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新型インフルエンザ国内初の人から人へ感染 神戸の高校生8人

2009.05.17

 神戸市内の2つの高校に通う男女8人の生徒が、新型インフルエンザに感染していると16日、確認された。これまで入国時の検疫で米国から帰国した大阪府内の高校生と教師4人の感染が確認されているが、8人の生徒たちはいずれも渡航歴はない。国内で人から人への感染が始まっていることが確認された最初の例となる。

 神戸市は同日から1週間、患者が通学する高校に加え、東灘区、灘区、中央区、兵庫区、北区、長田区と芦屋市内の市立幼稚園・小学校・中学校・高校・特別支援学校を休校にする措置を取った。

 兵庫県も同じ区域にある県立学校、県立大学を休校とし、市立、私立の学校に対しても休校を、また保育所、高齢者通所施設などに対しても休業を要請した。県立施設を休業とするとともに、市立施設に対しても休業を要請した。映画館やスポーツ施設など民間集客施設に対しては休業するか、営業する場合でも、入館時にせきの症状がみられる客にマスク着用を求めるといった注意喚起を要請した。

 政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会は、同日、新型インフルエンザウイルスが国内に侵入し地域での感染が始まった第2段階(国内発生早期)となった、との見解を明らかにした。今後の取り組みとしては、重症になる恐れが高い基礎疾患をもつ人が感染して、死亡することを防ぐことに重点を置くことを挙げている。医療機関には、このための機能の明確化を求めた。多くの軽症患者が医療機関に殺到すると、重症化しやすい人に感染の危険が及ぶことを指摘、軽症の患者は医療機関への受診を控えて、自宅で療養するなど地域の実情にあった協力を求めた。

 患者に対するタミフルなど抗インフルエンザウイルス薬の投与効果と併せて、濃厚接触者やウイルスに暴露した疑いのある医療従事者などに抗インフルエンザウイルス薬を予防投与する効果にも言及している。

 世界保健機関(WHO)によると16日(日本時間同日夕)時点で、感染者は36カ国、8,451人に増えている。エクアドル、ペルー、ベルギーが感染国に加わった。死者もメキシコ、米国で新たな報告例があり、カナダ、コスタリカを加えた4カ国で72人となった。日本の新たな感染はこの時点のWHO集計に含まれていない。

 国別の感染者の内訳は、米国4,714人うち死者4人、メキシコ2,895人うち死者66人、カナダ496人うち死者1人、スペイン100人、英国78人、パナマ43人、フランス14人、ドイツ14人、イタリア9人、コスタリカ9人うち死者1人、ブラジル8人、イスラエル7人、ニュージーランド9人、コロンビア11人、エルサルバドル4人、日本4人、中国4人、グアテマラ3人、オランダ3人、韓国3人、スウェーデン2人、ノルウェー2人、フィンランド2人、ベルギー2人、タイ2人、キューバ3人、エクアドル1人、ペルー1人、アルゼンチン1人、オーストリア1人、スイス1人、デンマーク1人、アイルランド1人、ポルトガル1人、ポーランド1人、オーストラリア1人となっている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、死者数はアリゾナ州の1人を加えて4人となった。CDCは、米国民が新型インフルエンザに対し免疫を持っていないことや、まだワクチンがないことを上げ、今後、患者、死者は増えるとの見通しを引き続き明らかにしている。

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