理化学研究所は5月8日、新しい万能細胞とされたSTAP細胞の論文の疑義に関する理研調査委員会の調査結果に対する小保方晴子(おぼかた はるこ)理研研究ユニットリーダーからの不服申し立てについて、「再調査を行わない」との結論に至ったと報告されたことを発表した。同時に、不服申し立てに関する審査結果報告(5月7日付)の全文を公表した。
理研は5月8日朝、この報告を正式に受けて、再調査しないことを決定した。小保方氏に審査結果を通知し、不正と認定された論文の取り下げを正式に勧告した。研究不正に関わった小保方氏や理研のSTAP論文共著者らについて、懲戒委員会を設置し、処分の検討を始めたことを明らかにした。
野依良治理研理事長は審査結果を受けて「今回の事案を厳粛に受け止め、研究不正行為の防止と、研究活動に対する信頼回復に努めていく」と声明を出した。
審査結果報告全文は4月1日に発表された調査結果よりも詳しく、不正者に悪意があったとした根拠を説明した内容になっている。電気泳動データの画像の切り貼りを「改ざん」とした理由や、STAP細胞の多能性を裏付けるとした画像の「ねつ造」について判断内容を示し、「過失」とする小保方氏の主張を退けた。また、理研調査委員会は、小保方氏らがSTAP論文が掲載された英科学誌ネイチャー(1月30日付)のほか、米科学誌サイエンスにも同様の論文を投稿しており、その際に画像切り貼りの問題を指摘されていた新事実も明らかにした。
理研の研究担当の川合眞紀理事は会見で、今回の結果とは別に、STAP細胞の有無についての検証実験を理研として進めることを確認した。
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