理化学研究所(理研)発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のグループが発表した刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得(STAP)細胞の論文について、理研調査委員会は4月1日、都内で会見し、改ざんやねつ造の研究不正行為があったとする報告書を公表した。
報告書によると、指摘されていた4項目の疑惑のうち、電気泳動のデータについては、切り貼りがあり、改ざんの不正があったとした。また、画像が別の異なる実験に関する論文から転用されていたとして、ねつ造の不正と認定した。残る2項目については不正なしとした。不正行為を認定したのは、研究中心者の小保方晴子(おぼかた はるこ)研究ユニットリーダーに限った。論文共著者の若山照彦・山梨大学教授と笹井芳樹・理研発生・再生科学総合研究センター副センター長については不正を認めなかったが、「データの正当性と正確性について自ら確認することなく、論文投稿に至っており、その責任は重大である」と指摘した。さらに、調査委は「小保方リーダーの実験ノートが3年間で2冊しかなく、これらの画像の由来を科学的に追跡することができなかった」と報告した。
STAP細胞が存在するかどうかについては、調査委員長の石井俊輔・理研上席研究員は「科学的研究が必要だが、調査委のミッションを超えている」と答えた。調査委は外部の専門家2人、弁護士1人を加えた6人から構成され、報告書の公表に際して、委員名が公表され、委員全員が会見に臨んだ。
この報告に対して、小保方晴子リーダー自身は会見していないが、代理人の弁護士を通じて「改ざん、ねつ造と決めつけられたことは、とても承服できない。近日中に、理研に不服申し立てをする」とのコメントを発表した。
関連リンク
- 理研調査委員会の報告書全文
- 理研調査委員会の報告書(スライド)