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がんの恐れ少ないiPS細胞 マウスで確認

2008.02.15

 マウス、ヒトの皮膚細胞から多能性幹細胞(iPS細胞)をつくり出すことに成功している山中伸弥・京都大学教授らが、マウスの肝、胃の細胞からも同じ方法でiPS細胞をつくることに成功した。この研究成果により、iPS細胞が実は分化した体細胞中にわずかに残っていた未分化細胞から作り出されたのでは、という可能性は否定され、さらにがんを起こす恐れの少ないiPS細胞をつくることも十分、可能であることが明らかになった、と山中教授らはみている。

 山中教授らが開発したiPS細胞製造法は、4つないし3つの転写因子(遺伝子)を、レトロウイルスを運搬役として細胞内に導入する。このため、レトロウイルスが、染色体上の特定の場所に挿入され、がん遺伝子などを活性化させることが避けられないのでは、という可能性が否定し切れていなかった。

 しかし、肝、胃の細胞からつくられたiPS細胞は、レトロウイルスの染色体への挿入数が皮膚からつくられる場合に比べ少なく、さらに染色体の特定な場所への挿入も見られなかった。

 これらの結果は、レトロウイルスによるがん遺伝子の活性化を引き起こさずにiPS細胞がつくり出せる可能性を示すとともに、レトロウイルスを用いなくてもさまざまな細胞からiPS細胞をつくり出せる可能性も示唆する、と山中教授らは言っている。

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