米カリフォルニア州の研究助成機関「カリフォルニア再生医療機構(CIRM)」が、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を含む新しいヒト幹細胞の研究を支援するプログラムをスタートとすることを決め、米時間17日から公募を始めた。
新しいプログラム「New Cell Line Award」によると初期の胚から得られるヒトES細胞と、ヒトES細胞に代わる多能性幹細胞研究にそれぞれ8件、合計2,500万ドル(約280億円)の研究費を投じる。iPS細胞は、ヒトES細胞に代わる多能性幹細胞の例として公募文書に明記された。公募の締め切りは来年1月10日。
カリフォルニア州では、2006年からの10年間で幹細胞研究に総額30億ドル(約3,300億円)を支援する「カリフォルニア幹細胞研究医療法」が、04年に州民投票でつくられた。「カリフォルニア再生医療機構(CIRM)」は、この州法によって設立された州の機関。これまで136の研究課題に総額2億800万ドル(約230億円)の研究費支給を決めており、ヒト胚性幹細胞(ヒトES細胞)研究に対する世界最大の研究助成機関となっている。今回のプログラムは、ヒトES細胞に加えて、iPSを含むヒトES細胞に代わる多能性幹細胞も助成対象に挙げているのが特徴だ。
ヒトES細胞は受精卵を材料に使うことから倫理的な問題がネックになっている。米ブッシュ政権は、新たなES細胞を使う研究に連邦予算を支給することを禁じる政策を堅持している一方、州レベルではカリフォルニア州に代表されるように研究を支援するところもあり、民間ファンドによる支援も受けて、米国だけで幹細胞研究を進める研究機関が50にも上る実態がある。