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N20排出減らす家畜糞の堆肥化技術開発

2010.01.15

 養豚場から排出される糞(ふん)を堆肥(たいひ)化する際に発生する一酸化二窒素(N20)を大幅に減らす技術開発に、農業・食品産業技術総合研究機構・畜産草地研究所が成功した。

 N20は気候変動枠組み条約京都議定書でも削減対象になっている温室効果ガスで、地球温暖化への影響が一分子あたり二酸化炭素(CO2)の約310倍高いと言われている。対策が進むフロン類に代わり、オゾン層破壊物質としても最も大きい影響を持つことが最近の研究で分かった。発生源の65%は家畜の糞尿とも言われ、家畜の糞尿を堆肥にする過程で大量に大気中に排出される。

 畜産草地研究所のこれまでの研究で、堆肥化が進む過程でできる亜硝酸イオンが長期間・高濃度に蓄積し、これがN2Oに変化すると考えられている。新しく開発された方法は、亜硝酸イオンがN20に変化する前に亜硝酸イオンを亜硝酸に変えてしまうのが狙い。堆肥化の途中段階にある豚の糞に亜硝酸酸化細菌を多く含む完熟堆肥を重量比で1.5-10%添加した結果、N20の発生量を平均で60%削減できることが確認された。

 堆肥化は初期に有機物が活発に分解されるため温度が60℃以上まで上昇する。亜硝酸酸化細菌は高温に弱いので、60℃から温度が下がり始める時期を狙って完熟堆肥を添加するのがこの技術のポイントだ。

 畜産草地研究所は今後、実規模に近い堆肥化試験に加え、この技術を牛や鶏など他の家畜糞にも適用することを検討したいと言っている。

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