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新興国も世界全体の長期目標共有認める

2008.07.10

 洞爺湖サミットは最終日の9日、主要8カ国に中国、インドなど温室効果ガスの大量排出国を加えた16カ国首脳による主要経済国会合を開き、地球温暖化対策について話し合った。

 この結果、「排出量削減の世界全体の長期目標を含む、長期協力行動のためのビジョンの共有を支持し、締約国が衡平原則を考慮して、世界全体の長期目標を採択することが望ましいと信ずる」という首脳会合宣言をまとめ、発表した。前日の首脳宣言に盛り込まれた「2050年までに温室効果ガス排出量半減」という数値は盛り込めなかったが、「世界全体の長期目標を採択することが望ましい」という表現で、主要8カ国以外の国々が主要8カ国に歩み寄りを見せた形となった。

主要経済国首脳会合宣言に盛り込まれた主な内容は次の通り。

  • 「われわれは、低炭素社会達成を目指した、排出量削減の世界全体の長期目標を含む、長期協力行動のためのビジョンの共有を支持する。科学的知見を踏まえ、世界全体の排出量の大幅削減が条約の究極的目的の達成に必要であり、適応はそれに応じた極めて重要な役割を果たすことを認識する。条約の下での交渉において、締約国が衡平原則を考慮して、世界全体の長期目標を採択することが望ましいと信ずる。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の野心的な複数のシナリオへの真剣な考慮を求める。世界全体の長期目標に向けての意義ある進展は、既存技術やベスト・プラクティスを普及させる資金供与を増大することで実現する。かかる長期目標を究極的に達成できるかは、調達可能で、新しく、より進歩した革新技術およびインフラ、われわれの生活様式を変える慣行にもかかっている」
  • 「われわれはさらなる行動をとる。すなわち、われわれは他の優先目標も達成しつつ、われわれの政策とパフォーマンスを引き続き改善していく。世界全体の長期目標の達成には、バリ行動計画の合意結果に反映されることになる各々の中期目標、約束、行動が必要となる。先進主要経済国は、先進国間で比較可能な努力を反映しつつ、中期の国別総量目標を実施し、これに関連する行動を、排出量の絶対的削減を達成し、さらに可能な場合にはまずは可能な限り早く排出量増加を停止するためにとる。途上主要経済国は、対策をとらないシナリオ(Business as Usual)の下での排出量からの離脱を達成するため、持続可能な開発の文脈で、技術、融資、キャパシティ・ビルディングに支援された国ごとの適切な緩和の行動を遂行する」
  • 「森林減少・劣化などによる排出量の削減および土地利用・土地利用変化、森林セクターにおける吸収量の増加のための行動が温室効果ガスの安定化に貢献し得ることを認識する」
  • 「適応は、不可避的な気候変動の影響に取り組む上で不可欠であることを認識する。われわれは、途上国、とりわけ最も脆弱な国が、気候変動への適応能力を強化するため、共に協力していく」
  • 「技術の極めて重要な役割、技術の飛躍的進歩の必要性を確認する。短期的には、多くの既存技術の幅広い展開が緩和および適応の両方に不可欠である。特に、省エネ、エネルギー効率、災害抑制、水・天然資源管理に関する技術は重要である。再生可能エネルギー、よりクリーンで低炭素の技術および、関心を有する国については原子力を含む技術の利用を促進する。より長期的には、革新的技術の研究、開発、実証、展開、移転が決定的に重要である。特に、炭素回収・貯留(CCS)に関する研究、開発および大規模実証や協力などの必要性を認識する。われわれはまた、クリーン・エネルギーの研究開発などにおける継続的な投資および協力促進の手段としての技術ロードマップの価値に留意する」
  • 「気候変動に取り組むためにはより多くの資金の動員が必要である。資金フロー、特に途上国への資金支援を拡大させることなどが緊要である」
  • 「現在から2012年までの期間、完全、実効的かつ持続可能な条約の実施のため、われわれは、セクター別の緩和関連技術協力の戦略につき協力し、セクター別の効率性に関する緩和情報および分析の交換などを促進し、協力的セクター別アプローチおよびセクター別行動の役割を検討する。世界貿易機関(WTO)担当者に、気候変動に関する協力の促進に関連する問題の協議を、切迫感をもって進めるよう指示する」

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