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医療・健康・介護分野の研究に大きな期待

掲載日:2009年7月24日

国民が求める先端的研究として期待が大きいのは「医療・健康・介護」分野であることが、内閣府の意見募集結果で明らかになった。

この意見募集は今年度補正予算で発足することになった「最先端研究開発支援プログラム」の研究課題選定資料にするため、内閣府がホームページで募った。6月21日から7月21日の間に、606人から911件の意見が寄せられた。プログラムはまだ国民の多くに知られているとは言えず、意見を寄せたのは科学技術に関心が高い人々に限られるとみられることから、“科学リテラシー”が比較的高い層の科学技術に対する期待傾向をうかがうデータとして相応の意味はありそうだ。

606人の回答者の内訳を見ると、30代、40代が最も多く、全体の約半数(50.3%)を占める。次いで50代19.5%、20代12.4%。10代はわずか1.5%と60代、70代よりも少ない。若者に期待する人たちには、物足りなさを感じる反応ではないだろうか。性別でも男性が78%に対し、女性は22%。研究分野における女性の活躍を期待する人たちにはこちらの数字も不満だろう。

ついでに職業別の内訳を紹介すると会社員36.1%、研究者17.3%、主婦9.7%、学生8.4%の順となっている。公務員は3.8%と、会社役員4.6%、自営業4.0%のさらに下になっているが、人口比からいうとこんなものなのだろうか。主婦が女性回答者の45%を占めているが、これも妥当な数値なのだろうか。

さて、肝心の意見募集の結果である。

最も期待を集めた「医療・健康・介護」(全体の約35%)の中で、一番期待が高いのは「がん治療の確立や普及」。これはがんが日本人の死因の1位であることから、うなずける結果だ。続いて「再生医療の実用化」。これはiPS(人工多能性幹)細胞で再生医療に対する関心と期待が急激に高まったことの反映だろう。

続いて「痴呆症やアルツハイマーの治療の確立と普及」「うつ病等精神疾患の治療の確立と普及」「パーキンソン症候群の治療の確立と普及」となっている。日本人の死因の2、3位を占める「心疾患」「脳血管疾患」より、これらの具体的疾患が上位に来ていることは、注目される。実際に自分自身あるいは周辺に実際に困っている、悩んでいる人が多い現実の反映とすると、公費を投入する優先度に影響を与えてしかるべきとも考えられる。

「医療・健康・介護」に次いで期待を集めたのは「環境・エネルギー」(約29%)、「交通・通信」(約11%)、「食・食品」(約7%)、「安全・安心」(約6%)の順だった。「資源対策や地球温暖化対策のための太陽光やバイオ技術を利用した新エネルギー等への転換」が、「環境・エネルギー」の中の半数以上を占めているのは大方が納得する結果ではないか。一方、メディアによく取り上げられる「食品の安全性を高める技術の向上」は回答全体の2%以下。むしろ、食品の安全に関する技術ほど取り上げられることが少ないように見える「交通事故防止や交通事故死をゼロにするための自動車開発やインフラ整備」の方が3%近い回答を得ていることも注目される。

「最先端研究開発支援プログラム」は、「新たな知を創造する基礎研究から、出口を見据えた研究開発まで、さまざまな分野、ステージを対象とした先端的研究課題のうち、3-5年間で世界をリードし、世界のトップを目指す研究課題」30程度を選び、1件当たり30億-150億円の研究開発費を投じる。中心研究者と研究課題の申請は所定様式が24日、自由様式が31日それぞれ締め切りとなっている。

公表された一般からの意見募集結果は、申請された中から中心研究者と課題の選定作業を担う「最先端研究開発支援ワーキングチーム」に22日、参考資料として配布された。

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