レビュー

世界トップを目指す人、課題とは

2009.07.13

 世界をリードし、トップを目指す課題に研究開発費を集中投入する「最先端研究開発支援プログラム」の選定作業が始まった。

 9日に開かれた最先端研究開発支援ワーキングチームの初会合で、野田聖子 氏・科学技術政策担当大臣は「『これこそ次の日本の研究開発だ』というものを選んで、国民を鼓舞してもらいたい」と、あいさつしている。委員からは早速、どのような課題を選ぶか、さまざまな意見が出たのが興味深い。

 産業界の委員からは、当然ながら「研究のための研究ではなく、日本の技術力、産業力の強化につながるものでなければならない」「確かな社会還元につなげていくためには、プログラム終了後のフォローアップが重要」「産業競争力の強化につながる課題に重きをおくべきだ」といった意見が多く出された。

 一方で基礎研究分野の委員からは「中心研究者の創造力が重要であり、提案課題の中に創造力が盛り込まれているかどうかが重要」「適正規模があり、最低30億円ということでなしに、提案によっては小さいものもよいのではないか」「中心研究者に国内外の大型プロジェクトの運営経験を求めると年寄りしか応募できないのではないか」などの意見が出された。

 独創的な研究成果は思わぬきっかけから生まれることが多い。これらの研究がすべて最初から高額の研究開発費、大人数の研究スタッフを必要とするわけでもないだろう。基礎研究分野の委員からの意見は、見通しがついた課題にのみ研究開発費が集中するとこれら独創的な研究の芽を摘みかねない、という危ぐに基づくものではないか。

 3-5年間で世界をリードし、世界のトップを目指す人と課題を約30選ぶ。最先端研究開発支援ワーキングチームに課された任務は、相当に重いと思われる。プログラムに対する認識や選定に関する考え方が、基礎系と産業系では大きく異なるのも、むしろ最初から予想されたことではないだろうか。

 選定作業の最終段階まで議論は続くようにみえる。

関連記事

ページトップへ