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野鳥の繁殖・中継地など地震で被害の恐れ

掲載日:2011年5月24日

三陸地方に多い海鳥の繁殖地や渡り鳥の中継地・越冬地が東北地方太平洋沖地震によって大きな被害を受けているとみられ、早急な現状把握と今後の長期的な調査が必要だ、とする提言を山階鳥類研究所が23日、文部科学省と環境省に提出した。

同研究所によると、津波により繁殖地の島が被害を受けている恐れが高いのは、絶滅危惧IA類にランクされているクロコシジロウミツバメで、日本では三陸沖が唯一の繁殖海域となっている。また、絶滅危惧II類のヒメクロウミツバメは岩手県釜石市の三貫島を繁殖地としている。

宮城県の蒲生(がもう)干潟や鳥の海は、沿岸性鳥類が春・秋の渡りの際に一休みする重要な湿地。ここも地震による地盤沈下や津波による土砂流入などによって、渡り鳥の中継地としての機能を失った可能性がある。被災地の海岸や河川を繁殖地としている絶滅危惧II 類のコアジサシも、既存の繁殖地が津波などによって破壊された心配がある。

餌欠乏によって個体数が減っていないかどうかの調査に加え、地盤沈下で新たな繁殖地や中継地になっている湿地が形成されていないかという探索も必要、と山階鳥類研究所は言っている。

さらに三陸沖は、親潮と黒潮がぶつかる餌の多い海域であるため、この地域では繁殖を行わないアホウドリ(絶滅危惧II類)やオオミズナギドリも繁殖期にこの海域を頻繁に訪れるほか、ミズナギドリ類、海ガモ類、カモメ類など、多数の海鳥が非繁殖期に滞在する海域にもなっている。福島第一原子力発電所の事故により海洋に流出した放射能汚染水の影響がこれら海鳥に及ばないか、今後、三陸沖に限らず、海鳥の遺体や放棄卵等を収集・分析して汚染の広がりをモニタリングする必要も同研究所は指摘している。



繁殖地の被害が心配されるクロコシジロウミツバメ 海鳥類の繁殖地となっている三貫島(地震前に撮影)
繁殖地の被害が心配されるクロコシジロウミツバメ 海鳥類の繁殖地となっている三貫島(地震前に撮影)
(提供:山階鳥類研究所)
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