地球温暖化対策の行方に大きな影響を持つ国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は、京都議定書以降の明確な枠組みを明示できないまま19日、閉幕した。
環境保護団体の反応から、今回の会議であらためて明らかになったことは何かを探ってみる。
日本の市民・環境NGO/NPOのネットワーク組織である「気候ネットワーク」は19日、浅岡美恵・代表名の声明を発表した。「留意する」という表現を挿入して辛くも合意された「コペンハーゲン協定」について、「これからの気候変動を防ぐために十分なものでなく、確固として法的拘束力ある野心的な合意を導くことを約束するものともいえない」と厳しく批判している。
国際自然保護団体も厳しい見方をしている。WWF(世界自然保護基金)は、同じく19日のプレスリリースで「地球を気候変動の危険から守るための約束としては、善意だが及び腰。豊かな国貧しい国すべてによる全く新しい協力が必要とされている危機の解決にはまるで不十分だ」と断じている。
コンサベーション・インターナショナルも、米国、中国をはじめとする経済大国が「コペンハーゲン協定」に加わったことは評価しつつ、「協定は温室効果ガスを削減する法的拘束力を持つ枠組みをつくらなかった。残された時間はなくなりつつある」とあらためて警鐘を鳴らしている。
コンサベーション・インターナショナルと気候ネットワークの声明に共通してみられることのもう一点は、さらなる努力を個々の国に求めていることだ。気候ネットワークは、実効性ある国際合意づくりにリーダーシップを発揮するために、まず自国の排出削減を確実にすることを日本政府に求めている。既に明らかにしている削減目標を達成するため「発電所の排出を直接排出でとらえ、事業所に総量の排出上限枠を設けて行う義務参加型の国内排出量取引制度と、炭素税とすべての再生可能エネルギーの固定価格買取制度を含む地球温暖化対策基本法を次期通常国会で制定し、日本の低炭素経済への道を開く」ことを求めた。
コンサベーション・インターナショナルも、コペンハーゲン協定は米国により積極的な温室効果ガス排出削減と財政措置をとらせることを可能にした、と米国が必要な国内法整備を急ぐことに大きな期待を寄せている。
国連気候変動枠組み条約締約国会議の議論は仕切り直しとなったものの、主要国の個別努力にはこれまで以上に厳しい目と期待が注がれる、ということだろうか。