ダーウィンの進化論を生んだ島として知られるガラパゴス諸島の貴重な海洋生物が気候変動と過剰な漁業などにより絶滅ないし絶滅の危機に陥っている、と自然環境保護団体「コンサべーション・インターナショナル」(CI)が警告を発した。
科学誌「グローバル・チェンジ・バイオロジー」に掲載されたCIとチャールズ・ダーウィン研究所などの研究者による報告書は、エルニーニョ現象による海水温の上昇に加え、漁業と観光その他の人間活動によってガラパゴス諸島の生態系がここ数十年で永久に変わってしまった、としている。
サンゴ礁とケルプ(大型の褐藻類)が生えた海底はなくなってしまい、スズメダイの仲間であるガラパゴスブラックスポッテッドダムゼルなど9種の海洋生物が既に絶滅したか絶滅の可能性が高いと考えられている。さらにガラパゴスペンギンを含む36 種も絶滅危惧(ぐ)種となっており、ダーウィンの進化論で有名なフィンチの一種、マングローブフィンチも個体数が200まで減ってしまい絶滅が心配されている。
ガラパゴス諸島はいくつもの海流が一点に交わる場所で、多様で固有の生態系を持っている。報告書の著者たちは、地球温暖化の影響を示す「炭坑のカナリア」のような場所で起きている破壊的な状況をコペンハーゲンで開催中の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議代表が重視し、緊急に温室効果ガスの大幅削減と脆弱(ぜいじゃく)なコミュニティと生態系への適応策をとるよう求めている。