連日記録的な猛暑が続いていることを重視した日本救急医学会が熱中症予防に関する緊急提言をまとめ、20日に公表した。緊急提言は、熱中症に対して注意が必要とされている高齢者だけでなく、小児も「熱中症弱者」として親や教師など周囲の人間が注意する必要があると指摘している。
日本救急医学会は「熱中症に関する委員会」(委員長・清水敬樹東京都立多摩総合医療センター救命救急センター長)を組織、同委員会で議論して緊急提言をまとめた。提言は(1)「暑さ指数」(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)を意識した生活を心がけ、運動や作業の中止について適切に判断をする(2)水分をこまめに取り、様子がおかしいと思ったらすぐに涼しい場所に誘導する(3)重症度を適切に判断して応急処置をし、様子を見守りつつ改善がなければすぐに医療機関に搬送する(4)周囲にいる者同士が互いに注意し合うーの4つが必要と指摘した。
特に小児に対しては、汗腺の発達や自律神経が未熟で体温調節機能が弱い上、身長が低いために地面からの輻射熱(ふくしゃねつ)の影響を受けやすいと指摘。自分で予防する能力が乏しいため、親や学校の管理者など周囲の大人による見守りが重要であることを強調している。
「暑さ指数」は「熱中症指数」とも呼ばれ、気温のほか、湿度や、輻射熱も考慮して人体と外気のやり取りに着目した指数で単位は気温と同じセ氏。専用の測定装置で計測するため個人で計るのは難しいが、環境省の「熱中症予防情報サイト」で地域ごとにその日と翌日、翌々日の指数を知ることができる。
緊急提言の説明によると、「暑さ指数」 が 31℃以上の場合は「危険」で運動は原則中止。また28℃以上は「厳重警戒」で、持久走など体温が上昇しやすい運動は避けることが、また25℃以上は「警戒」で、積極的に休息を取って水分を補給することがそれ必要とされている。環境省の「熱中症予防情報サイト」によると、例えば24日正午現在の東京の指数は31.3 ℃で「危険」レベル。
環境省は日本救急医学会とは別に、熱中症の予防や保健指導などを詳しく盛り込んだ「熱中症環境保健マニュアル2018」をまとめ、ホームページで公表している。
関連リンク
- 日本救急医学会「熱中症予防に関する緊急提言」
- 環境省熱中症環境保健マニュアル2018