福島県は20日、全県民を対象に実施している福島第一原発事故に伴う健康管理調査のうち、先行して実施していた川俣町山木屋地区、浪江町、飯舘村の住民に対する放射線被ばく推定値を発表した。
これらの地区は福島第一原発から半径20キロ以上離れており、事故直後の避難区域に含まれていなかったが、その後、高い放射線量が測定され事故の1カ月後に「計画的避難区域」に指定された。今回公表された調査の結果、事故の起きた昨年3月11日から4カ月間で、平常時の被ばく許容線量である年間1ミリシーベルト以上の線量を被ばくしたと推定される住民(放射線業務従事者は除く)は4,156人いることが分かった。被ばく線量推計値が公表された9,747人の約43%に相当する。
このうち10ミリシーベルトを超えた人々は71人で、最大は23.0ミリシーベルトだった。これらの結果について、福島県県民健康管理調査検討委員会は「これまでの疫学調査によれば、100ミリシーベルト以下での明らかな健康への影響は確認されていない。23.0ミリシーベルトは、4カ月間の積算実効線量値であるが、放射線による健康影響があるとは考えにくい」としている。
福島県は、福島第一原発事故が起きた昨年3月11日に県内に居住ないし滞在していた全員を対象に、最も放射線量が高かった事故直後の4カ月間でどのくらいの放射線を被ばくしたかを調査している。調査の方法は、問診表を配り4カ月間の行動を記入してもらった記録から被ばく量を推定した。この基本調査とともに、18歳以下の全県民を対象とした甲状腺検査や、避難区域などの住民と基本調査で必要とされた人を対象に白血球分画を含む健康審査などの詳細調査を実施している。
今回の調査結果は、先行して基本調査を行った川俣町山木屋地区、浪江町、飯舘村の住民の約36%にあたる10,468人(放射線作業従事者を含む)について被ばく線量を推定した。