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幼児生徒にもっと運動・スポーツを 日本学術会議が指針

2011.08.17

 小学3、4年生まではさまざまな遊び、小学生高学年から高校生までは運動部活動やスポーツ少年団、総合型地域スポーツクラブなどへの積極的な参加が必要だとする「子どもを元気にする運動・スポーツの適正実施のための基本指針」を日本学術会議がまとめ、16日公表した。

 基本指針には、子どもの健康・体力に関わる全ての個人、組織、機関などに求める提言が盛り込まれている。特に運動・スポーツはゼロ歳児から重要、としているのが目立つ。5歳ごろまでの幼児には、基礎的な運動制御能力の発達を促進する全身運動を含む短時間の運動遊びなどを毎日数回行うことが必要としている。5歳以上の子どもには、骨や筋肉を強化する運動を含め毎日総計60分以上の身体活動を行うことを求めている。さらに脳の運動制御機能や知的機能を高める効果も指摘しており、敏しょうな身のこなしなどすばやい動作や状況判断・作戦などの知的機能を要する全身運動の大切さを強調している。

 小学校の高学年以降は、学校の授業に加え、教科体育外の運動・スポーツ活動に積極的に参加することを求め、中学校・高校では、さらに出来る限り多くのスポーツや身体活動・運動に参加できるよう指導することが必要だ、としている。

 提言の根底には、社会環境の変化によって、子どもの動作発達や運動能力の低下、小児肥満や姿勢異常の増加、身体の虚弱化に伴う気力の低下などが問題となっていることへの危機感がある。2009年度の文部科学省体力・運動能力調査報告書によると、走る(50メートル走・持久走)、跳ぶ(立ち幅跳び)、投げる(ソフトボール投げ・ハンドボール投げ)という3つの基本運動能力で、平均値がいずれも1985年をピークに低下し、現在も依然低い水準にあることが明らかになっている。

 同時に懸念されているのが「体力の二極化」。1週間の総運動時間(体育授業と通学時間を除く)が7時間以上とそれ未満の児童生徒を比較すると、よく運動をしている子どもとそうではない子どもとの間で体力差が開いていることが確認されている。運動・スポーツをやる時間が少なく、体力・運動能力テスト成績が極めて低い青少年が非常に多いことが、テスト全体の平均値を低い水準に引き留めている要因の一つとなっていることがうかがえる、と提言は指摘している。

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