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「はやぶさ」カプセルに小惑星の微粒子確認

2010.11.17

 小惑星探査機「はやぶさ」が、6月に持ち帰った回収カプセルから約1,500個の微粒子が見つかり、鉱物種の存在割合から、小惑星イトカワ由来の物質であることが確認された。宇宙航空研究開発機構が16日発表した。小惑星の岩石試料を回収したのは世界初の快挙だ。

 宇宙航空研究開発機構によると、微粒子の大きさは数ミクロンで肉眼では見えない。小さなへらでかき出した状態のまま電子顕微鏡に入れて確認したところ、かんらん石や輝石などが確認できた。かんらん石中の鉄とマグネシウムの比率や輝石中の鉄とマグネシウムの比率などを調べたところ、その成分比率が隕石(いんせき)の特徴と一致し、地球上の岩石とは異なることが分かった。この成分比率は、「はやぶさ」がリモートセンシングで推定したイトカワの表面物質の組成とも一致した。また、地球上にはほとんど存在しないトロイライトと呼ばれる硫化鉄鉱物も、今回の試料の中に存在していた。

 今回、試料が確認できたことで、数々のトラブルを克服して7年ぶりに地球に帰ってきた「はやぶさ」は、当初の目的を完遂したことになる。

 プロジェクトマネージャの川口淳一郎教授は「地球に帰ってきたことが夢のようなことだったが、今回のことは夢以上の成果」と話している。

 宇宙開発関連予算は、昨年11月の事業仕分けで縮減を求められ、18日には再仕分けが行われる。宇宙航空研究開発機構は、「はやぶさ」に続く小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトを進めようとしている。今回の成果が再仕分けの議論にどう反映されるか注目される。

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