レビュー

「はやぶさ2」プロジェクトは挑戦的か

2010.07.15

 宇宙航空研究開発機構が、小惑星探査機「はやぶさ2」プロジェクトについて宇宙開発委員会に報告した。新聞各紙が15日朝刊でこれを伝えている。

 「はやぶさ」の地球帰還を機に、はやぶさプロジェクトマネージャー、川口淳一郎氏はあちこちのメディアに引っ張りだこだ。同じ15日の毎日新聞朝刊特集欄には、ノーベル賞受賞者の田中耕一氏との対談記事「はやぶさに挑戦心を見た」が1ページをつぶして載っている。

 「日本には失敗を恐れる文化、あるいは100%過去の成功の蓄積の上に立った計画でないと進めないという悪い癖があるようです。はやぶさは、ひょんなことから実現しましたが、日本的な考え方からするととても通らなかった計画だったと思います」

 「最近の大学院生や若手研究者は『研究は(本や論文を)読むことから始まる』と思っている。しかし、それらは既に過去のもの。そんなものを読んでも新しい発想は生まれません」

 「はやぶさ」計画は、当初、米航空宇宙局(NASA)もあまりに野心的な構想に驚いたといわれる。その計画を実現し、かつ成功に導いた川口氏ならではの心意気を分かりやすく伝える言葉が対談記事には並んでいる。

 では、「はやぶさ2」プロジェクトは、「はやぶさ」ほどの大きな関心と感動を内外の専門家や普通の国民から集められるだろうか。標的は「イトカワ」とは性格が異なるとはいえ同じ小惑星であり、往復の技術も「はやぶさで実証できた技術は継承し、ロバスト性、確実性、運用性を向上」させたものという。

 「はやぶさの後継機についても、挑戦心を失わないようにしたい」。川口氏は、毎日新聞の対談記事をそんな言葉で締めているのだが。

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