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バイオブタノールの効率よい精製法開発

2010.11.15

 エタノールとともにバイオ燃料として期待されているバイオブタノールの効率よい精製技術を産業技術総合研究所の研究チームが開発した。

 同研究所環境化学技術バイオケミカルグループの榊啓二・研究グループ長、根岸秀之・主任研究員、池上徹・主任研究員が開発した技術は、シリカ(二酸化ケイ素)から成る分離膜を合成したのが特徴。低濃度のブタノール溶液から80%以上という高濃度のブタノールを回収できる。

 ブタノール(C4H9OH)は、溶媒や燃料のほかに高分子の原料としてもよく用いられる。発熱量がガソリンに近く、既存のガソリン用のパイプラインやガソリンエンジンがそのまま使えるといった利点がある。石油から得られるが、サトウキビ、トウモロコシ、木材などのバイオマス資源から微生物を利用する発酵法によって生産されるバイオブタノールは、地球温暖化対策として利用促進が期待されている。

 同じようにバイオエネルギーとして期待されているエタノールより発熱量が26%ほど高く、さらにブタノールをつくる菌はバイオエタノールをつくる酵母と異なり、木、草、わらなど木質系バイオマスの主要な構成成分であるセルロースも効率よくブタノールに換える利点もある。

 研究チームによると、1%のブタノール水溶液から82%のブタノール液を回収、無水ブタノールを生産するには、脱水するための膜分離工程を入れてもブタノールが持つ全エネルギーの約13 %を投入すればよい。シリコーンゴム分離膜など従来の膜分離法に比べ50-70%エネルギー投入量が少なくて済むという。

 この研究開発成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託事業「バイオマスエネルギー等高効率転換技術開発制度(先導技術開発および加速的先導技術開発)」の支援により得られた。

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