食品廃棄物からバイオエタノールをつくりだす技術の製品化に新日鉄エンジニアリング社が成功した。同社は自治体や、大量の食品廃棄物を排出している企業などへの営業活動を始める。
同社は北九州市で5年かけて実用化を目指した実験事業を実施、1日約10トン(乾燥重量約2.9トン)の食品廃棄物を破砕選別、糖化、発酵、蒸留して約500リットルのエタノールが製造できることを実証した。このエタノールを3%混ぜたE3バイオガソリンを同社の業務用車と北九州市の公用車約20台に使用し、既に走行試験も実施済みだ。
食品廃棄物は国内で年間、約2,000万トン排出されるが、うち1,700万トンはリサイクルされず、ほとんどが焼却処理されている。新エネルギー国家戦略によると現在、ほぼ100%石油に頼っている運輸部門のエネルギー消費を、2030年までに石油依存率80%まで引き下げなければならない。この目標を達成するにはエタノールに換算して年500万-700万キロリットルのバイオマス燃料を使用する必要があるとされている。
今回、製品化に成功した技術を利用し、国内で発生する食品廃棄物すべてを処理できたとすると、年約70万-約100万キロリットルものエタノールをつくり出せる計算になる、と同社は言っている。
この成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構の委託を受け、新日鉄エンジニアリングに北九州市と株式会社西原商事が協力して得られた。