スウェーデンの王立科学アカデミーは5日、ノーベル物理学賞を独自の方法でグラフェンをつくり出し、その性質を明らかにした英マンチェスター大学のアンドレ・ガイム教授とコンスタンチン・ノボセロフ教授に贈る、と発表した。
グラフェンは炭素が六角形のハチの巣状に並んだシート状の物質で、膜の厚さは炭素原子1個しかない。極薄の物質であるにもかかわらず丈夫な上に、透明で熱と電気を通しやすいといった魅力的な性質を持つことからエレクトロニクス素材など幅広い応用が期待されている。
炭素原子のみからなる新しい物質としては、グラフェンのほかに飯島澄男氏が発見した筒状の「カーボンナノチューブ」やサッカーボールのような形をした「フラーレンC60」がよく知られている。「フラーレンC60」の発見者である米国人2人と英国人1人には、1996年にノーベル化学賞が贈られている。