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原子力安全委員会ようやく3回目の被ばく積算値公表

2011.04.26

 原子力安全委員会は25日、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)によるこれまでの放射線被ばく積算量の推定値を公表した。

 SPEEDIは、原子炉施設から大量の放射性物質が放出された場合、大気中の放射性物質の濃度や線量率の分布を予測するためのシステムで、避難の有無など緊急の判断をする際に大きな役割を果たすと期待されていた。しかし、原子力安全委員会が最初にSPEEDIによる試算「1歳児の甲状腺内部ひばく結果」を公表したのは、福島第一原子力発電所事故が起きた12日後の3月23日。なぜ、すぐに試算を公表しなかったのかという批判が放射線防護の専門家からも出ていた(緊急インタビュー・松原純子 氏・元原子力安全委員会 委員長代理、放射線影響協会 研究参与「放射線対策は総合的判断で」第1回(3月26日))「汚染情報の公開もっと早く」参照)。

 原子力安全委員会がこのほかにSPEEDIの試算を公表したのは、4月11日の「成人の外部被ばくによる実行線量」だけ。同委員会はSPEEDIを事実上活用できなかったことに対して、3月23日の時点では「3月20日から陸向きの風向となったため、大気中の放射性核種の濃度が測定でき、限定的ながら放出源情報を推定できた」と説明、直接放出源のデータが得られなかったことを理由に挙げていた。25日、3回目の被ばく積算推定値を公表するにあたっては、「環境中の放射性物質濃度の測定結果と発電所から測定点までのSPEEDIによる拡散シミュレーションを組み合わせることによって、放射性物質が放出された時刻における放出源情報を一定の信頼性をもって逆推定することができるようになった」と同じ説明を繰り返している。

 各新聞26日朝刊記事によると細野豪志・福島原子力発電所事故対策統合本部事務局長は25日の共同記者会見で「最も飛散していた3月中旬の段階で活用できなかったことは大変申し訳ない」と謝った。

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