レビュー

高額医療機器多い日本

2010.02.15

 日経新聞の15日朝刊1面に「高額医療機器日本の保有突出」という記事が載っている。

 1台数億円するコンピュータ断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)が外国に比較すると突出して多い現実を、厚生労働省と経済協力開発機構(OECD)の資料を基に明らかにした内容だ。

記事は「医療費が膨張する一因との指摘もある」と書いており、「CTやMRIがない医療機関は患者にそっぽを向かれる」という病院関係者の声とともに、「地域の拠点病院に集約して効率化を図るべきだ」という南和友・日本大学医学部教授のコメントも紹介している。

 たまたま当サイトに15日掲載したインタビュー記事「「オーダーメイドがん治療目指し」第4回目「医療を産業として見る目も」の中で、中村祐輔 氏・東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長は次のように指摘している。

 「医薬品や医療機器は1兆数千億円の輸入超過…。医療費が増えても、それが日本企業の開発・製造した薬などによるものであれば、税金という形で国に還元される。今のままだと…製薬企業からの税収が見込めない、おまけに医薬品、医療機器は輸入しないといけない。そのプラスマイナスを考えれば、医療分野はやはり重要だと国が認識すべきだ」

 要するに突出して多い高額の医療機器導入が日本の産業発展と税収につながるならまだしもだが、どうもそうはなっていないということだろう。

 この問題については米国での臨床医経験が長く、現在、感染症コンサルタントとしても活動している青木眞氏が、昨年10月28日に日本記者クラブで行われた研究会(記者会見)で興味深い指摘をしている。

 「日本は米国より人口が少ないのにCTは2倍か3倍持っている。米国の医師は『日本では開業医さえMRIを持っている』と言うとびっくりする。英国でも、疾患構造がこのぐらいの数ならMRIが必要なのは月に何回だからこの人口には何台あればいい、と計算してからMRIを買う」

 問われているのは、国全体として現在の医療にかかわる公的資金の投入(研究開発費の配分も含めた)が合理的か否か、ということだろうか。

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