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人文・社会科学軽視に抗議 日本学術会議が声明

掲載日:2015年7月24日

日本学術会議の大西隆(おおにし たかし)会長は23日記者会見し、国立大学の教員養成系と人文・社会科学系の学部・大学院について組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換を求めた下村博文(しもむら はくぶん)文部科学相の通知に対する抗議声明を公表した。

声明は、会長以下、副会長、部長、副部長らで構成する日本学術会議幹事会の名で出された。通知にある「社会的要請」については「大学が強く認識する」必要を認めつつ、「社会的要請とは何であり、それにいかに応えるべきかについては、人文・社会科学と自然科学とを問わず、一義的な答えを性急に求めることは適切ではない」と反論している。

「目には見えにくくても、長期的な視野に立って知を継承し、多様性を支え、創造性の基盤を養うという役割を果たすことも、また大学に求められている社会的要請である」ことも強調している。「具体的な目標を設けて成果を測定する」要請に応えるだけでは「社会の知的な豊かさを支え、経済・社会・文化的活動を含め、より広く社会を担う豊富な人材を送り出すという大学の基本的な役割を失うことになりかねない」と、危機感を表した。

さまざまな場で強く叫ばれているグローバル人材の要請という観点からも、文部科学相通知に反論している。グローバル人材に求められるのは「英語など外国語の能力とともに、わが国および外国の社会、文化、歴史の理解をはじめとする人文・社会科学が提供する知識とそれらに基づいた判断力、そして批判的思考力である」として、教育の面でも人文・社会科学の軽視が「大学教育全体を底の浅いものにしかねない」と指摘している。

一方、声明は国立大学側にも問題があることも認めている。「人文・社会科学に従事する大学教員は、変化が著しい現代社会の中で人文・社会科学系の学部がどのような人材を育成しようとしているのか、学術全体に対して人文・社会科学分野の学問がどのような役割を果たしうるのかについて、これまで社会に対して十分説明してこなかったという面があることも否定できない」としている。

文部科学相の通知「国立大学法人等の組織および業務全般の見直しについて」は、6月8日、各国立大学法人宛てに出された。通知の内容は、文部科学省に設けられている国立大学法人評価委員会での議論が下敷きになっている。同委員会は、北山禎介(きたやま ていすけ)委員長(三井住友銀行取締役会長)以下、経済人、公益法人役員、公私立大学学長・学長経験者、公認会計士など20人の有識者から成る。

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