暖かい地域の砂浜にいるスナガニ属の仲間。片方のはさみが大きい姿からは、遠い親戚のシオマネキのオスを思い浮かべる。この大きなはさみについたギザギザを、付け根に近い節に擦り合わせるなどして音を出す。求愛や侵入者の威嚇のためだ。ただ西南日本などに生息する「ナンヨウスナガニ」にはこうした構造が見当たらず、例外的に音を出さないとされていた。
ところが京都大学助教、後藤龍太郎さんらが根気よく観察、撮影すると、オスがはさみを高速で上下させながら「ギーッ」「カタカタッ」といった音を出すことが分かった。その仕組みや目的はまだ分からないが、何らかの“楽器”を隠し持っているのだ。成果は学術誌「プランクトン・アンド・ベントス・リサーチ」電子版に、5月31日に掲載された。
ナンヨウスナガニは、甲羅の幅がわずか2センチほどという。浜辺の小さな音楽家。波の音に負けないよう演奏、頑張ってね!
関連リンク
- 京都大学プレスリリース「ハサミで音を奏でるカニ ナンヨウスナガニにおける発音行動の発見」