東北から関東地方沖の日本海溝沿いの海域を震源とするマグニチュード(M)7〜8の大地震が今後30年以内に起きる可能性が高い—。こうした予測を政府の地震調査研究推進本部・地震調査委員会(委員長・平田直東京大学地震研究所教授)が26日公表した。M7.0級でみると確率90%以上の場所もあった。東日本大震災から間もなく8年を向えるが、今回の公表結果は東北から関東地方の沖で大きな地震が起きる危険性を警告する内容となっている。
地震調査委員会の平田委員長は今回の予測の公表に際して「東北地方の太平洋側の皆さんは(巨大地震があったので)しばらく地震がないと思わずに再び強い揺れや高い津波が来るということを十分考慮して大きな被害が出ないようにしていただきたい」と警戒を呼びかけた。
地震調査委員会は、2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の後の同年11月に東北から関東地方沖の大地震の発生確率値を出した。同委員会は今回、東日本大震災がその後の地震に与える影響に関する最新の研究データを加味して発生確率値を再改定した。
それによると、東日本大震災と同じ場所を震源とするM9程度の超巨大地震が発生する確率は「ほぼ0%」となった。しかし、宮城県沖で起きるM7.9程度の大地震については前回の「ほぼ0%」から「20%程度」に、福島県沖のM7.0〜7.5程度の地震も前回の「10%程度」から「50%程度」に上がった。また青森県東方沖や岩手県沖北部でM7.9程度の大地震の発生予測については「5〜30%」で前回予測と同じ確率になった。
こうした中でも今回注目されたのは、巨大地震ではないものの、M7.0〜7.5で大きな被害が出る可能性がある地震について、青森県東方沖・岩手県沖北部と宮城県沖ではそれぞれ「90%以上」「90%」という極めて高い確率が提示された点だ。
地震調査委員会では、地震発生確率値が「26%以上」は地震が起きる可能性が「高い」、3〜26%未満を「やや高い」、評価できない場合は「不明」と分類している。今回は大半が「高い」との予測になった。
太平洋の下にある海側のプレートは、東北地方が載る陸側のプレートの下に沈み込んでおり、日本海溝付近では2つのプレートが接している。このため大きな地震が起きるとされている。東日本大震災のようなM9程度の超巨大地震とM7〜8の大地震は発生メカニズムが異なる。このため、M9程度の超巨大地震が起きる確率が「ほぼ0%」である半面M7〜8の大きな地震の危険度は高いとの結果になった。
地震調査委員会は、海溝や活断層などにより繰り返し起きるとされる地震の規模や危険度に関する予測を「地震発生確率値」として発表している。確率値は「30年以内の発生確率」のパーセント数値で幅を持たせて発表している。
地震のマグニチュード(M)とは、地震が発するエネルギーの大きさを対数で表した指標値で、揺れの大きさを表す震度とは異なる。Mが1増えると地震のエネルギーは31.6倍になる。首都圏で大被害が想定される首都直下地震はM7級とされている。東北地方太平洋沖地震はM9.0だった。
関連リンク
- 地震調査研究推進本部ホームページ
- 地震調査研究推進本部事務局「日本海溝沿いの地震活動の 長期評価 概要資料」
- 地震調査研究推進本部地震調査委員会「日本海溝沿いの地震活動の長期評価」