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医療・介護の地域包括ケア求める研究スタート

2015.06.29

 ビッグデータの活用により超高齢化社会にふさわしい地域医療・介護の姿を探る大がかりな研究プロジェクトがスタートした。

 研究グループは、田宮菜奈子筑波大学医学医療系教授が代表、高橋秀人福島県立医科大学教授、野口晴子早稲田大学教授が副代表を務め、東京大学、岡山大学、横浜市立大学、福岡大学、東京都長寿医療センター研究所、社会保障人口問題研究所、産業技術総合研究所、保健医療科学院などが加わる。研究期間は2年間。

 研究プロジェクトは医療・介護サービスの質を、担当する人員、設備からサービス提供の流れ、得られた結果まで、包括的・科学的に評価・分析する。研究の基礎となるデータとして用いるのは、全国介護レセプトデータ、国民生活基礎調査、中高年縦断調査、介護事業者情報など。こうしたビッグデータを活用することで、地域でケアを必要とする人、家族のニーズと各種サービス利用の関連を調べ、医療と介護のより効果的な連携など総合的な解析が可能になる、としている。

 茨城県つくば市、福島県相馬市などモデル地区を選び、研究で得られた知見の実装を目指すのもこの研究プロジェクトの特徴。質の高い地域包括ケアに向けた政策決定に役立つ資料を各都道府県と市町村へ還元する仕組みをつくり、実際にモデル市町村の政策づくりを支援し、担当者の教育も実施する。

 医療の質の向上や政策に学問的裏付けを示す研究分野は、ヘルスサービスリサーチとして欧米では確立している。しかし、日本では筑波大学が唯一、独立した研究室を持つだけ。この研究プロジェクトにより全国レベルで地域差を含めた実証研究が可能になり、今後各市町村が独自の地域包括ケアを推進する上での科学的根拠を提供することができる、と研究グループは言っている。

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