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投資に見合う社会還元実現 文科省が財政審に反論

2015.06.10

文部科学省は、財務相の諮問機関である財政制度等審議会が国立大学のあり方や科学技術予算に見合う効果について厳しい見方を示したことに反論する文書を5日、公表した。

財政審が1日、麻生太郎(あそう たろう)財務相に提出した「財政健全化計画等に関する建議」は、国立大学に対し「大学として成し得る財務基盤強化を十分に進めているとは言い難い」と批判し、研究収入の積極的な獲得や授業料引き上げの検討など、国費に依存しない財務基盤の強化を大学に求めた。財政審はこうした主張の根拠として、国立大学に対する国の負担額が2004年に比べ約1,500億円増えているという数字を挙げている。

文科省はこれに対し、「教育研究を支える基盤的経費である運営費交付金の減少によって、特に若手研究者の常勤雇用が減少し、優秀な人材の確保に支障が生じる恐れがある」「日本の成長、科学技術イノベーションのためには、競争的研究費のさらなる充実が必要」などの理由を挙げ、「国費負担額全体が増加しているから十分という指摘は適切ではない」と反論した。

財政審の建議は「政府の科学技術振興予算が1989年度に比べ約3倍も伸びている」という数字も挙げて、額に見合うほどの十分な研究成果が得られていないのでは、との疑問も呈している。

文科省は、青色発光ダイオード(LED)の発明がもたらしたLED照明器具の世界市場規模が2020年に5.5兆円と見込まれることや、iPS細胞によって再生医療が実用化されるとさらに大きな市場規模が期待できる、といった例を示し、「投資に見合う効果を挙げている」と主張している。

これまでの科学技術基本計画が、明確な成果目標を設定せず政府による研究開発費の投入額のみを掲げているという批判に対しては、ドイツや韓国の例を挙げて、「次期の科学技術基本計画でも政府の研究開発投資目標を掲げていく」との考えを示している。

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