インフルエンザウイルスが内部に持つ8本の遺伝子が、互いにひも状の構造物で結ばれ1つの複合体を作っていることが、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授や野田岳志准教授らの研究チームによる立体構造解析で明らかになった。24日付けの英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
研究チームは、走査型透過電子顕微鏡を用いたコンピューター断層撮影法(電子線トモグラフィー)によって、インフルエンザウイルス(大きさ約1万分の1ミリ)の連続断面画像から立体構造を合成した。
インフルエンザウイルスにはヒト型、鳥型などがあり、それぞれの遺伝子が豚の体内で混成して新型ウイルスが出現すると考えられている。今回の研究は、こうした新型ウイルスの発生機構の解明や、遺伝子を連結する構造物を標的とする新しい抗ウイルス剤の開発などにつながるものと期待される。