政府の「エネルギー・環境会議」は7月29日、原発への依存度低減のシナリオを描くとともに、原子力政策の徹底検証を行い新たな姿を追求する方針を盛り込んだ「『革新的エネルギー・環境戦略』策定に向けた中間的な整理」をまとめ、公表した。
分散型のエネルギーシステムの実現を目指す方向を明示する一方、国民の合意形成の重要性を指摘し、「『反原発』と『原発推進』の二項対立を乗り越えた国民的議論を展開する」としている。
また、短期(今後3年)、中期(2020年)、長期(2030年または2050年)の3段階に分けて戦略工程も示した。今後3年間の短期的取り組みとして、電力システム改革のスタート、原子力事故・安全対策の徹底検証、原子力行政・規制などの見直しを行い、原発への依存度低減について国民的議論を深め対応を決定する、としている。
中期の取り組みとしては、原発への依存度低減も含めた新たなエネルギーベストミックスに基づく戦略実施を本格化するとしており、さらに新たなエネルギーベストミックスを実現し、新技術体系を踏まえた新たな電力システムを確立、定着することを2030年または2050年の目標に掲げた。
菅首相は、同日記者会見し、「原発に依存しない社会を目指し、計画的段階的に原発への依存度を下げていく」考えをあらためて強調した。「中間整理では原発をゼロにして、脱原発を実現する方向性がはっきり示されていない」との記者団からの質問に対しては「私がこの間申し上げてきたことと矛盾しない」と反論した。