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新卒・修了者の採用広報活動のみ2カ月遅れに

2011.01.13

 日本経済団体連合会の米倉弘昌会長(住友化学会長)は12日記者会見し、大学新卒者、大学院修士課程修了者の採用活動について、企業の「広報活動」開始時期を学部3年次・修士1年次の12月1日としたい、との考えを明らかにした。今年度中に日本経団連の倫理憲章を改定し、2013年4月入社予定者から適用したいとしている。

 現在、多くの企業は会社説明会の開催やホームページ上の登録受け付けなど「広報活動」を学部3年次・修士1年次の10月1日から始め、試験や面接などの「選考活動」を最終学年の4月1日から始めている。

 こうした現状に対し、政府や大学から学生、大学院生の本分である学業に支障を来すとの懸念が高まってきた。日本学術会議は、早い段階から始まる現在の就職・採用活動が「大学在学中に学んだ内容が重視されず、かつ長期間にわたって行われる」結果、「学生の学業生活に甚大な支障を及ぼすばかりか、メンタルヘルス面でも少なからぬ問題を発生させている」とする報告書を昨年8月に公表している。

 この報告書「大学教育の分野別質保証の在り方について は、多くの企業が採用している新卒者(翌年度卒業予定者)のみを採用対象者とする「新卒一括採用」についても見直しを求め、卒業後の数年間は新卒者とみなすよう提言した。

 こうした批判、提言を受け、昨年11月には、貿易商社・団体でつくる社団法人日本貿易会が「大学生、修士課程大学院生に対する採用選考活動を卒業・修了学年の夏季休暇(8月ごろ)以降に始め、卒業後3年以内の未就職卒業者を新卒採用枠とすることについても2013年度入社以降に限らずできるだけ早く実施する」というる基本的考え方をまとめ、公表している。

 今回、米倉日本経団連会長が明らかにした考え方では、試験や面接など「選考活動」の開始日は「現行通り最終学年の4月1日」としており、日本貿易会の方針ともまだ大きな隔たりがある。

 日本経団連の倫理憲章は「採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する」「学生が本分である学業に専念する十分な時間を確保するため、選考活動の早期開始は自粛する」「企業情報ならびに採用情報(説明会日程、採用予定数、選考スケジュール等)については、可能な限り速やかに、適切な方法により詳細に公開する」などをうたっているが、具体的な日時は書かれていない。

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