貿易商社・団体でつくる社団法人日本貿易会は、大学生、修士課程大学院生に対する採用選考活動を卒業・修了学年の夏季休暇(8月ごろ)以降に始める基本的考え方をまとめた。全産業界が同様の見直しをするよう日本経団連などに提言している。
なし崩し的に早まった結果、大学、大学院の教育も危うくしているという批判に応えたもので、特に理系修士課程などで学ぶ学生に対しては、研究活動に支障がないように努めることを明記している。
この基本的考え方は2013年度入社対象の新卒者から適用となっているが、政府や学術団体から強い要請が出ている卒業後3年以内の未就職卒業者を新卒採用枠とすることについても「2013年度入社以降に限らずできるだけ早く実施する」としている。
採用のための広報活動については、企業に対する理解を深めてもらうために必要だとしているが、時期については卒業・修了学年に入る直前の春休み(2-3月ごろ)以降とした。採用内定も卒業・修了学年の10月1日以降、としばりをかけている。
こうした採用活動日程の後ろ倒しについては「企業倫理憲章に明文化するか、申し合せ事項を策定するなど、その姿勢を内外に示す必要がある」と会員各社に求めた。また、日本経団連が企業倫理憲章で「在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する」とうたっていることを引き、「憲章の基本理念に立ち返って、採用活動の日程を後ろ倒しし、学生の学習環境を従来にも増して確保する必要がある」と記している。