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新卒一括採用の是正など提言

2010.08.18

 大学卒業生に対する現在の採用法を抜本的に改める必要があるとする提言を日本学術会議がまとめた。

 文部科学省高等教育局長から審議依頼のあった「大学教育の分野別質保証の在り方」に対する回答の中に盛り込まれたもので、多くの企業が採用している新卒者(翌年度卒業予定者)のみを採用対象者とする「新卒一括採用」を改め、卒業後の数年間は新卒者とみなすことなどを提言している。

 日本学術会議の回答は、これまでの採用法を長期安定雇用、年功的処遇、能力開発主義、企業内労使協調主義を特徴とする「日本的雇用システム」を前提にして成り立っていたものだとし、経済の持続的安定という環境が崩れた現在、就職・採用活動の長期化による「意義の乏しい過剰な選び合い」という状況を招いている、と指摘している。

 この結果、大学教育の職業的意義を希薄にし、在学中に学んだ内容が重視されない。さらに正規雇用・非正規雇用間の分断を顕著にし、大学卒業時点でいずれの就労状態に従事するかがその後の職業キャリア形成に及ぼす影響を大きくするなど、日本社会にマイナスの影響を与えていることを強調している。

 例えば卒業後最低3年間は、既卒者に対しても新卒一括採用の門戸を開くことのほか、大学におけるキャリアガイダンスを、学生の専門的・職業的能力を育成する教育力を強めることと相携えて行われるものに替え、さらに卒業後3年程度は在学生と同様な就職あっせんの対象にすることなども提言している。

 2006年版「国民生活白書」によると、若年既卒者を新卒者と同じ枠で採用対象とした企業は調査対象企業の22.4%にとどまっており、採用対象としなかったとする企業が44.0%に上っている。

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