世界で最も絶滅の恐れの高い霊長類25種を国際自然保護団体が公表した。
国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会(SSC)、国際霊長類学会、コンサベーション・インターナショナル(CI)が公表した報告書「Primates in Peril-The World’s 25 Most Endangered Primates(危機に瀕する霊長類・世界の最も危機に瀕する霊長類トップ25)2008-2010 年版」には、アフリカ大陸6種、マダガスカル5種、アジア11種、中南米3種の霊長類が最も絶滅の恐れが高い種として挙げられた。
ベトナム北東部トンキン湾のCat Ba 島に生息するゴールデン・ヘデッド・ラングールは個体数が60-70頭だけ、マダガスカルのスポーティブ・レムールは100頭以下、ベトナム北東部のイースタン・ブラック・クレステッド・ギボンは、110頭だけしか残っていないという。
熱帯林の燃焼と伐採などによる生息地の破壊やブッシュミート(野生生物を食料とする狩猟)が主な原因となり、世界の霊長類634種のうち、半数近い(48パーセント)種がIUCNレッドリストの絶滅危惧(きぐ)種にリストアップされている。
IUCN・SSC霊長類専門家グループ長でCI会長でもあるラッセル・ミッターマイヤー氏は「霊長類が最も危機に瀕している脊椎(せきつい)動物のグループだ」と、各国政府に対し、今年10月、名古屋に開催される生物多様性条約締約国会議(COP10)に向けて積極的な保全活動をとるよう呼びかけている。