国立大学協会(会長・濱田純一東京大学総長)は26日、2010年度予算編成について緊急アピールを川端達夫・文部科学相に提出した。
国立大学法人化後に既に720億円の運営費交付金が削減されていることなどから、これ以上の予算削減は、教育の質を低下させ、学問分野を問わず、基礎研究や萌芽的研究の芽をつぶすだけでなく、地域医療の最後のとりでとしての機能や一部国立大学の経営が破たんするなど、日本の高等教育・研究の基盤が根底から崩壊し、回復不能な事態に陥ると指摘している。そうならないために予算充実の必要を訴えている。
具体的には、基盤的経費である運営費交付金の総額1%削減や人件費削減計画(2006年度から毎年1%削減)の撤廃、授業料等標準額の減額と減免措置の拡大、給付型奨学金の創設など奨学金制度の拡充、TA(ティーチングアシスタント)、RA(リサーチアシスタント)などの拡充、附属病院への財政支援の拡充、施設予算の充実、科学研究費補助金の拡充、国際化支援予算の充実などを要望した。
特に附属病院については、経営改善係数の適用によるマイナス2%の撤廃、小児科、産科などニーズが高いにもかかわらず採算性が低い診療部門への支援、施設整備費補助金の割合の拡充、国立高度専門医療センターと同様に附属病院の長期借入金債務の軽減措置の実施、診療報酬への配慮などを求めている。
25日の事業仕分けで運営費交付金の見直し、特別教育研究経費の削減、大学への支援施策の削減などが決定した。大学関係予算全体が削減の方向にあることから、国立大学の危機意識がさらに高まっている。