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都市ガスを利用の高効率燃料電池システム開発

2009.10.26

 都市ガスを原料とするエネルギー効率の高い燃料電池システムを、東京工業大学統合研究院の研究チームが東京ガスの協力で開発した。実証機が既に同大学大岡山キャンパス内に設置され、動いている。

 燃料電池は、電気分解反応の逆を利用する。水素などを燃料に電力をつくるが、都市ガス(主成分はメタン)はそのまま燃料電池の原料にはならない。

 荒木和路・統合研究院特任教授らが開発したシステムは、燃料電池で電気を生み出す際に発生する排熱を、再利用する複合システムになっているのが特徴。まず固体酸化物形燃料電池で電気を作り出す際の温度が900℃であるのを利用し、この熱で都市ガスから水素を分離する。この水素を再び燃料電池の原料として利用する。こちらの燃料電池はより低温(約80℃)で稼動する固体高分子形燃料電池が用いられている。都市ガスから水素を分離した際には一酸化炭素(CO)も出てくるが、これは水素の一部と共に高温で運転される固体酸化物形燃料電池の原料として利用される。

 2種類の燃料電池を組み合わせる結果、システム全体としてエネルギー利用効率を上げるだけでなく、温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量も削減できるのが自慢だ。

 実証機は、水素貯蔵槽も持っており、このシステムを利用すると、将来、水素を燃料電池自動車などに供給する拠点にも成りうる、と研究チームは言っている。

 この研究開発成果は、国土交通省の「住宅・建築関連先導技術開発助成事業」の支援によって得られた。

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