文部科学省は11日、低炭素社会の実現を目指す行動計画と研究開発戦略をまとめ、公表した。教育現場での環境に対する意識改革と、人文社会科学の知見も活用した社会システムの変革を重視しているのが目を引く。
行動計画は、環境の変化を精度よく把握する地球観測、予測される環境変化への適応策、二酸化炭素(CO2)排出削減・緩和策の研究開発に加え、日本の優れた環境科学技術の活用による科学技術外交の重要性を挙げ、これら4つを関連させ、同時進行させる研究開発活動を展開するとしている。
また、児童生徒が環境についての理解を深め、環境を大切にし、環境の保全に配慮した行動が取れるようにするための教育活動を重視している。通常の授業科目における環境教育に加え、原子力・エネルギー教育の推進を挙げ、さらに自然の中での長期宿泊体験事業(農山漁村におけるふるさと生活体験推進校)など体験活動の取り組み推進も盛り込んでいる。
学校自体を環境に考慮した施設にすることも柱の一つにしており、国庫補助により太陽光発電の導入を推進し、現在の10倍の公立小中学校施設に早急に太陽光発電を設置することを目指す、という具体的目標を掲げた。
研究開発戦略では、「文部科学省低炭素社会づくり研究開発戦略本部」を設置し、「戦略的社会シナリオ研究の実施」「先進的低炭素化技術開発(緩和策)の推進」「将来的なエネルギー技術開発の推進」などの研究開発戦略を定め、それぞれ「低炭素社会実現のための社会シナリオ研究」や「高速増殖炉サイクル技術、核融合技術、水素製造技術、宇宙太陽光発電技術など将来的エネルギー開発の推進」といった具体的施策を挙げている。