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社会還元意識した研究6割

2009.06.23

 
大学・公的研究機関では、社会還元を意識した研究が6割程度行われているとみられることが、科学技術政策研究所の「政府投資が生み出した成果の調査」で明らかになった。

 
この調査は、科学技術基本計画がどの程度、実行されているかを追跡するために行われた。科学技術政策研究所が公表した報告者は、第2期(2001-05年)、第3期(06年〜)の科学技術基本計画中に得られた研究成果として189機関から回答のあった1,052件をまとめ、分析している。第3期科学技術基本計画では6つの大目標を掲げているが、このうち4つの目標が成果の社会還元を重視したものとなっている。

 
調査の結果、社会での位置づけや活用をある程度明確に意識した研究に該当するとされた成果が全体の62%を占めていたことから、科学技術政策研究所は、大学・公的研究機関では、社会還元を意識した研究が6割程度行われているとみている。

 
同研究所は1,052件の中から代表的な成果として39件を選び、「大学・公的研究機関の多様な成果事例集」としてまとめた。

 
社会還元、活用を目標としたものは29件あり、以下のような成果が含まれている。

 
「超高効率な発電性能を有する風レンズ風車の開発と高精度な数値風況予測による風力エネルギーの有効利用」(九州大学)、「常温でセラミックスを作る省エネプロセス技術」(産業技術総合研究所)、「アルツハイマー病の原因物質の分子メカニズム解明」(理化学研究所)、「緊急地震速報の実用化と進展」(気象研究所)、「インフルエンザウイルス感染過程の解明とその応用」(科学技術振興機構=代表研究機関・東京大学)

 
また、社会還元する方向が特定しにくい2つの政策目標「飛躍知の発見・発明」「科学技術の限界突破」に該当する代表的成果としては、「新系統の高温超伝導物質を発見」(東京工業大学)、「新しい光ナノ構造『フォトニック結晶』の開発とそれによる自在な光制御の実現」(京都大学)、「月の起源と進化の解明に迫る、月周回衛星『かぐや』」(宇宙航空研究開発機構)、「地球深部探査船『ちきゅう』の建造と『南海トラフ地震発生帯掘削計画』の開始」(海洋研究開発機構)など10の成果が挙げられた。

 
今回の調査では、これら39の事例とは別に、政府の支援が功を奏した代表的な成果12例を「政府投資が支えた近年の科学技術成果事例集」として挙げている。

 
これらは「iPS細胞の創出」「脳科学の展開」「地球と宇宙の探査・観測技術」「X線自由電子レーザーと大型放射光施設」「次世代蓄電システム」「希少金属回収技術」「次世代画像表示技術(有機EL)」「ユビキタス社会を支えるメモリと高速無線通信ネットワーク」「動脈硬化予防・治療法(高脂血症治療薬)」「重粒子線がん治療技術」「新興・再興感染症の制御技術」「自然災害の減災システム技術」となっている。

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