科学技術外交重視の狙いで昨年度から始まった途上国との共同研究課題として新年度は、14カ国の研究機関を協力相手とする21件が採択された。
政府開発援助(ODA)と連携した国際共同研究プロジェクトは、「環境・エネルギー」「防災」「感染症」の3分野から、日本、相手国双方にメリットのある地球規模の研究課題を選び、3-5年間、科学委技術振興機構と国際協力機構(JICA)が研究経費を支給する。
今年度は「環境・エネルギー」分野の中に新しく設けた「生物資源の持続可能な利用に資する研究」に対する関心が高く、アジア、アフリカ諸国を中心に全体の3分の1に当たる49件の応募が集まった。この中から「乾燥地生物資源の機能解析と有効利用」(共同研究相手国チュニジア)、「持続可能な地域農業・バイオマス産業の融合」(同ベトナム)、「地球環境悪化に対応したダイズの分子育種技術の開発」(同ブラジル)、「根寄生雑草ストライガ防除法」(同スーダン)、「熱帯多島海域における沿岸生態系の多重環境変動適応策」(同フィリピン)、「非食糧系バイオマスの輸送用燃料化基盤技術」(同タイ)の5つの共同研究が採択された。
感染症分野では、ブラジルとの「エイズ患者における真菌症対策」、インドネシアとの「フラビウイルスなどに対する抗ウイルス薬とワクチンの開発」、ガーナとの「薬用植物抽出物による感染症制御」、フィリピンとの「レプトスピラ感染症の予防とコントロール」の4共同研究が採択された。感染症分野の共同研究では、昨年から「デング出血熱などに対するヒト型抗体による治療法の開発と新規薬剤候補物質の探索」と「結核およびトリパノソーマ症の新規診断法・治療法の開発」が、それぞれタイ、ザンビアの研究機関を相手にスタートしている。
日本側は各課題に大学や独立行政法人から代表研究者が決まっており、それぞれ複数の研究機関が共同研究に参加する。